アサヒコーポレーション(靴メーカー):中国工場から5年以内に撤退、国内回帰を業績回復の原点
国内回帰を業績回復の原点に
中国からアパレル関連企業の撤退が進むなか、「国内回帰」を業績回復の原点にした企業もあります。靴メーカーのアサヒコーポレーション((株)アサヒコーポレーション:福岡県久留米市 佐藤栄一郎社長)。
5年以内に生産をすべて国内に戻しますが、革を自動で裁断する設備を採用するなど生産の効率化などに10億円を投資し、売れ筋商品への対応力を高めます。
5年以内に生産をすべて国内に戻しますが、革を自動で裁断する設備を採用するなど生産の効率化などに10億円を投資し、売れ筋商品への対応力を高めます。
「4000円の壁」を越えるために中国へ
もともと、シニア向けの靴には、「4000円の壁」があるといわれていました。小売価格が4000円以上になると、とたんに靴は売れなくなる。
それを打開するため中国へ渡ったわけですが、人件費の高騰で、この壁を越えることが困難になりました。人件費は、この10年で約7倍も高騰したといいます。
それを打開するため中国へ渡ったわけですが、人件費の高騰で、この壁を越えることが困難になりました。人件費は、この10年で約7倍も高騰したといいます。
中国に伝えなかった技術で活性化
撤退方針が決まったあと、すぐに取りかかったのが、国内の生産拠点の活性化です。同社には、中国に伝えなかった「バルカナイズ製法」と呼ぶ技術があります。
温度が最大でセ氏140度、空圧が周りの3倍の高さになる大釜のなかで、「アッパー」と呼ばれる靴の上部とゴム底を1時間~1時間半かけて圧着します。素材の分子同士が結ばれ、靴の柔らかさと復元力を両立させた、吸い付くような履き心地です。価格より、この技術、品質を重視しました。
温度が最大でセ氏140度、空圧が周りの3倍の高さになる大釜のなかで、「アッパー」と呼ばれる靴の上部とゴム底を1時間~1時間半かけて圧着します。素材の分子同士が結ばれ、靴の柔らかさと復元力を両立させた、吸い付くような履き心地です。価格より、この技術、品質を重視しました。
高付加価値化を勝機に結びつける
国内の工場で、4000円未満の靴を作るのは難しいとみられます。しかし、高付加価値化をはかり、履き心地の良さが消費者に認められれば、十分に勝機はあります。買収合戦が激しく、ノウハウがすぐに競合してしまう中国へ、あえて伝えなかった技術が、大きな運を呼びそうです。
●関連記事:「日本の資本,中国から続々撤退!現地労働賃金の上昇、円安による国内回帰のメリットが浮き彫りに」[2015.6.13配信]
[2017.2.25]
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