日銀のマイナス金利政策の副作用に効果?高配当のヘルスケアREITが増加傾向
有料老人ホーム、サ高住、病院などがヘルスケア施設
東証REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)市場には現在、3本のヘルスケアREITが上場しています。東証では、ヘルスケアREITを「主たる投資対象をヘルスケア施設とする」と定義。具体的には有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、病院などが対象となり、総資産に占めるヘルスケア施設の割合が50%超えのREITを指し投資が増加傾向にあります。
一般に投資信託は、資産を預かり運用するファンドですが、REITは資産を預けることなく、自分自身で売買が可能で株式投資に似た部分があります。REITには様々な分野の不動産があり、分野ごとに特長,配当も異なってきます。
他の施設に比べ配当が高いヘルスケアREIT
REITには、景気の恩恵を受けやすい商業施設やホテルなどの宿泊施設、賃料が安定している物流施設や住居などあり、ヘルスケアREITの最大のメリットは分配金が高配当であることです。
東証REIT市場の平均利回りは、平成28年10月31日現在3.63%。それに対し、3本のヘルスケアREITの日本ヘルスケア投資法人の利回りは同4.57%、ヘルスケア&メディカル投資法人は同4.29%、ジャパン・シニアリビング投資法人は同4.86%と高い配当率を示しています。
施設運営者、投資家、利用者各々にメリット
ヘルスケアREITは、施設の運営者や投資家、利用者の3者へメリットをもたらすことが可能です。
施設運営者は、保有する施設をヘルスケアREITへ売却してリースバック契約を締結。施設維持への財務負担や管理業務から開放され、施設の売却資金を運営事業の充実や新規事業へ投資することが可能です。
投資家には、ヘルスケアの施設の入居・利用率が景気変動の影響が受けにくいとして他の施設に比べ安定性が高いと想定されています。少子高齢化が進む日本では、ヘルスケア施設のニーズは増加すると推測され、成長する資産ともいえます。
一方、利用者には厚生労働省のみならず上場金融商品として金融庁や東証の監督下にも置かれ、事業者の運営を厳しく監視。入居者・利用者離れのリスクが低く抑えられるメリットがあります。
マイナス金利でヘルスケア施設の取得費も軽減
平成28年1月、日銀の金融政策でマイナス金利が適用されて以来,REIT市場の利回りはほぼ値を戻してきており、10年国債の利回りのマイナスで上昇スピードは早まっています。金融機関からの借入金利は低下。不動産購入の借入コスト減少や、分配金期待も大きく、日銀の買入れ金融対象商品も追い風となって、現状では良質な金融商品と言えそうです。
ヘルスケア施設はREITとしては、比較的新しいカテゴリーですが、高齢化がさらに進めばヘルスケア施設へのニーズもさらに高まります。
一方,世界的に米国経済の動向や,中国など新興国の景気減速。また介護士などの人手不足など全てのヘルスケア施設が必ず軌道に乗る訳ではないことも注意が必要。投資に元本保証はないことを頭に入れておきましょう。
[2016.11.4]
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