宮城県女川町に、木製のエレキギター工房が設立。震災を通して見直される文化と技術。
「女川町のブランド」になってほしい
東日本大震災の被災地・宮城県女川町に、東北に古くから伝わる技法を使い、国産材でエレキギターを製作する工房ができました。場所は、JR女川駅前に新設された「テナント型商店街」。宮城県気仙沼市のニットブランド「気仙沼ニッティング」に続き、新ブランドになってほしい。
設立者は、仙台市青葉区のギター製造販売会社「セッショナブル」。敷地面積約100平方メートルのこぢんまりした工房です。同社のギターは、「気仙大工」と呼ばれる職人集団が受け継いできた伝統技法「蟻(あり)組み」でつくられます。木材の凹凸部分を組み合わせる伝統工法で、ボディーと弦が張られたネック部分をつなぐ際、接着剤もボルトも使いません。部品の隙間がないため、振動が大きくなり、豊かで聞きやすい音を奏でるのです。
つらい体験があったからこそ見直されるもの
デザインは、イタリアの高級車フェラーリなどを手がけた工業デザイナーの奥山清行さんが担いました。本体の下部分を大胆にカットした、小型で斬新なデザインです。価格は税込み25万~30万円で、色や木材の種類などを選べるセミオーダー制。初年度は月30本の販売を目標とし、3年後には月100本以上の販売を目指します。試作品を披露した梶屋陽介社長(32)が「東北の技術を詰め込んだギターの完成」と熱く語った姿が印象的でした。
東日本大震災は、つらい、つらい体験です。けれど、その体験があったからこそ、見直される伝統技術があり、新しく生まれる文化があります。女川町の須田善明町長は「音楽という文化を新しい女川の魅力として発信したい」と述べています。逆境から立ち上がる商品にエールを送りたいと思います。
[2016.4.14]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 宮城県女川町に、木製のエレキギター工房が設立。震災を通して見直される文化と技術。
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/2495
コメントする