石炭火力発電所を新設:経済産業省/高効率石炭火力へ推進、環境省/温暖化ガスの削減が困難、
電力各社に石炭火力発電所の新設を容認
エネルギー需要とCO2削減などの環境問題。そして、原発事故への懸念。「電源構成(ベストミックス)」をどうするかは難しい課題です。環境省は2月、これまでの姿勢を修正し、電力各社が発電コストの低い「石炭」火力発電所を新設することを容認しました。4月に電力の小売り自由化が始まり、危機感を募らせる各社の主張を飲んだ形。しかし、国際的には逆風が吹いています。
燃料費の安い石炭火力を新設する計画
電力会社や新規参入事業者は、燃料費の安い石炭火力を新設する計画を計5件打ち出しました。これに対し、環境省は、国際公約である「温暖化ガスの削減目標の達成が困難になる」として、環境影響評価(アセスメント)法に基づき、「是認できない」と異議を唱えました。一方、経済産業省は、高効率の石炭火力への乗り換えを推進する立場をとり、対立しました。
地球全体を視野に入れられているか?
環境省が矛をおさめた背景には、全国の原子力発電所の再稼働が限られるなか、電力の安定供給を優先せざるを得ない事情があります。丸川珠代環境相は、林幹雄経済産業相との会談後、「個別案件のアセス審査については、国の温暖化ガス削減目標との整合性で判断する」と述べ、経産省が温暖化対策を実行するのを条件に、経産省と歩調を合わせる方針を明示しました。
石炭火力の割合を26%と設定
政府は、2030年度のベストミックスで、「望ましい」石炭火力の割合を26%と設定しています。新設は高効率型に限り、発電効率の低い設備には是正勧告を出していきます。しかし、どう見ても、国際社会に向けた説明は不十分。地球全体を視野に入れたベストミックスの哲学と、それを実現させるための具体的な作業工程を、きちんと示してほしいと思います。
[2016.3.26]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 石炭火力発電所を新設:経済産業省/高効率石炭火力へ推進、環境省/温暖化ガスの削減が困難、
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/2476
コメントする