タマホーム:低価格から中高価格帯住宅に参入/コストは倍だが特色重視!
「相場の半額で提供しよう」と設立
住宅産業は、景気の影響を受けやすい業界です。2014年の消費増税に伴い、駆け込み需要がふくれあがった反動で、最近は、特に「低価格住宅」が苦しい。低価格の注文住宅で名をはせた「タマホーム」も、苦労人の経営者が素早く方針を切り替え、「中高価格住宅」市場に参入します。
玉木康裕社長は、福岡大商学部を卒業後、家業の「筑後興産」(福岡県筑後市)に入社しました。1998年、48歳の時、自分の愛称「タマちゃん」から名を取って「タマホーム」を設立。あるインタビューでは、「『ユニクロ』の全国展開に刺激を受けた。視察した米国で、住宅価格の安さに衝撃を受けたことを思い出し、注文住宅を相場の半額で提供しようと思い立った」と語っています。この発想が秀逸でした。現在は、全国に約260支店を展開し、14年5月期の連結売上高は1695億円。「ハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホーム」のテレビCMを覚えている方も多いでしょう。あのフレーズも社長のアイデアです。
コストは倍だが特色を打ち出し転換!
しかし、時代が変わり、15年度の戸建て注文住宅は、「大和ハウス工業」や「住友林業」など、高価格帯の累計受注額が前年を上回る反面、低価格のタマホームは5%減と落ち込みました。賃上げなどの恩恵を受けた高所得層が再増税の前の購入を考える一方、同社の顧客層は買い控えの姿勢を変えません。
今春、全額出資子会社「日本の森と家」を設立し、夏以降、営業を本格化させます。寺社などで用いる伝統工法を応用した「板倉構法」を採用。価格は標準的な建物で3000万~4000万円と、これまでの同社の建物に比べ約2倍になります。今回の転換もまた、優れた判断になればと思います。
[2016.2.25]
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