マンション建替え要件緩和:「8割以上」から「3分の2」へ/築45年超の建物:291箇所、2045年には、4093か所に激増
所有者の3分の2が合意すれば建て替えへ
老朽化したマンションや団地が建て替えやすくなります。政府が、大型マンションや団地の建て替えに必要だった「所有者の合意」を、現行の「8割以上」から「3分の2」へ引き下げる方針を示しました。都市再開発法などの改正案を通常国会に提出し、民間の建設投資を促します。
1960年代以降、高度経済成長を謳歌した日本では、住宅団地やマンションの建設ラッシュが続きました。国土交通省の統計では、築45年超の団地は現在、291か所。2045年には、約14倍の4093か所に激増する見通しです。老朽化の進行で、居住環境や安全面にも支障が出ています。エレベーターがないなど、高齢者に対応していない建物も多くあります。分譲マンションでは、現在約38万戸が空き家となっており、古くなるほど空き家率が高まります。
第一に優先すべきは誰なのか一考を
現行では、建て替えの際には所有者の「8割以上」の合意が必要なのに加え、マンションを更地にして売却し、別の場所に住み替える場合には、「全員」の合意が必要です。法改正は、景気抑揚の影響力が大きい建設業界を活性化するため、主に都市部の大型団地などを対象とします。市町村などの自治体が認めれば、小規模の建て替え案件にも適用します。建て替えを進め、建物の利便性を高めることで、若年層を呼び込む効果も期待しています。
とはいえ、第一に考えるべきは、古い物件に住む高齢者のことです。資金に余裕がある高齢者ばかりではありません。貯金も乏しいのに「賛成」はできない。再開発や高層化により、空いた敷地内に介護施設や保育所、商業施設などを併設する構想のようですが、弱者に不利にならないことが基本です。
[2016.2.3]
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