国土交通省が、空き家を準公営住宅にする方針を決定。公営住宅の建設費抑制と、弱い世帯への支援は両立するか。
2033年には全国の3割が空き家に
全国で増え続ける空き家対策をどうするか。国土交通省は、耐震性などの基準を満たす空き家を、公営住宅に準じる「準公営住宅」とし、生活費負担が大きい子育て世帯などに貸す方針を決めました。2017年の通常国会に向け、法律上、制度上の細かな点を詰めていきます。
全国の空き家は、13年時点で820万戸。10年間で約25%増えました。野村総合研究所の調査では、有効な対策が講じられない場合、33年には2150万戸となり、空き家率は3割を超えます。一方、公営住宅は全国に216万戸(2013年度)で、この10年間、増えていません。自治体の財政が厳しく、公営住宅の新設費用に予算が回らないのです。国は子育て支援や女性の活用を唱えますが、子育て世帯にとって住宅費が負担である現状も手付かずです。
クリアすべき課題は多く...
国交省の発想は、公営住宅の建設費抑制と、子育て支援、あるいは低所得の高齢者支援を「両立」させようというもの。準公営住宅は民間の住宅賃貸業者が仲介し、借り手は、民間物件と条件を比べてよいほうを選ぶようにします。準公営住宅の家賃は公営住宅よりも高くなりますが、家賃の補助などで、同水準の民間物件よりも実質的に安くすることも検討中です。
法整備には苦労しそうです。まず、準公営住宅として認める空き家の「耐震性」「省エネ性」「遮音性」などの基準を新設しなければなりません。空き家を補修・改修する所有者には費用の補助も必要でしょう。また、準公営住宅の"価値"を上げすぎると、民間のアパートやマンションを仲介してきた不動産業者を"圧迫"することにもなりかねず、慎重な制度設計が求められます。
[2016.2.1]
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