中国製粗鋼の価格暴落で世界の鉄鋼メーカーが大混乱! 景気減速と設備投資の悪循環でリスク拡大。
景気減速と過剰な設備投資による悪循環
今や世界の半分を占める中国製粗鋼の価格暴落に、世界中の鉄鋼メーカーが混乱しています。以前から指摘されてきたことですが、急激な中国の景気減速と、過剰な設備投資が悪循環を生み、リスクを広げているのです。破綻する海外企業もあり、悪影響は日本にも及ぶでしょう。
中国は、2008年のリーマン・ショック後、大混乱する先進国の総需要や金融市場を尻目に、大規模で積極的な需要刺激策をとりました。これが功を奏し、自国ばかりか新興国の成長まで牽引しました。粗鋼生産量は、その象徴の1つです。14年には前年比0.9%増の8億2270万トンと世界の半分を占めるに至り、2位の日本(1億1070万トン)を圧倒しています。しかし、そのからくりは、国有銀行による国有企業への巨額投資でした。返済のあてのない無駄な投資が多く、過剰設備を抱えた国有企業の債務問題はずっと懸念材料でした。
見通しのないまま突っ走った結果
投資と成長を続け、作り上げた巨大な資本設備をフル稼働させるには、莫大な需要が長期に渡って必要です。その見通しがないまま成長路線を走った結果が、今回の混乱です。今年の中国の粗鋼製産は、前年比2.2%減の7億3838万トン。中国鉄鋼工業協会に加盟する企業の4割が赤字に陥り、なりふり構わぬ輸出(投げ売り)が始まりました。代表的な鉄鋼製品のホットコイルの海外価格は250~270ドルと、半年で約100ドル下げています。
価格が乱高下しては、海外の企業はたまりません。10月にはタイ鉄鋼大手のサハウィリア・スチール・インダストリーズが破綻しました。日本鉄鋼連盟の柿木厚司会長(JFEスチール社長)も、「夏以降、日本の輸出に影響した。価格は先が読めない」と記者会見で語っています。
[2016.1.12]
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