ハウス食品:CoCo壱番屋を買収。外食チェーン買収は「英断」か。
売上高440億円。身売りとはほど遠い経営だけれど
「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国展開する外食チェーン「壱番屋」(愛知県一宮市)が、「ハウス食品グループ本社」の子会社になります。壱番屋のブランドと上場は維持するものの、カリスマ創業者と創業家は、経営の一線から退きます。鮮やかな「引き際」が印象的でした。
壱番屋の店舗は、全国で約1200店。店ごとに開発する独自メニューなどが好調で、2015年5月期の連結決算は、売上高440億円、税引き後利益も27億円に上りました。ハウス食品とは、1978年の創業時からカレールーの提供を受けたり、中国や東南アジアで展開する「日本式カレー」事業で協力したりするなどの関係でしたが、"身売り"とはほど遠い経営に見えました。
身ぎれいな幕引きが「英断」となるか
なぜ、今回の決定なのか。記者会見で、壱番屋の浜島俊哉社長は、「長いレンジでモノを見た」と語りました。確かに、国内のカレー市場は家庭用、外食ともに成熟し、人口減を考えれば今後も大きな成長は見込みにくい。近年は、牛丼チェーンもカレーのメニューを充実させ、競争も激化しています。円安、中国の食品需要増による原材料価格の高騰も続きます。今回の決定が「英断」かどうかは、両社のノウハウがからみ、販売強化につながるかにかかっています。
創業者の宗次徳二さんは、02年に経営の一線を退いてから、名古屋市栄区に、私財を投じて「宗次ホール」を開設しました。クラシック音楽の普及やさまざまなボランティア活動を進め、株の売却資金もボランティア活動の資金にするそうです。カリスマ創業者と一族の身ぎれいな幕引き、そして第二の人生。決断の鮮やかな会社。なんだか、すがすがしさを感じました。
[2015.12.2]
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