厚労省が、未承認薬の治験に「人道的」見地から患者が参加できる新制度を来年から創設。
通常、薬の許認可には早くて数年かかる
がんや難病などの最新の治療薬。それらは、人体に使用して効き目や副作用を確認する「治験」を経て、国から製造・販売の承認を受け、売り出されます。3段階の治験過程をクリアし、承認を得るまでの期間は早くて数年。それを待ちきれない重篤な患者の救済制度を、厚生労働省が創設します。
治験では、未承認薬と偽薬(プラセボ)を使って効果を比べます。その薬を使った人と使わない人とを、対象者や人数などを変えながら、科学的に比較するのです。年齢や体形などの参加条件が設けられ、持病がある人ははねられます。同じ重篤ながんを患いながら、この治験に参加して延命できたという人も、参加できず承認を待つ間に亡くなる人も出てきます。
新制度によって患者に門戸が開かれる
厚労省が来年早々にも創設する新制度では、「人道的」な見地から、条件にはずれた人も「門前払い」せず、一定程度、効果や副作用に関する安全性が確認された未承認薬を使えるようにします。偽薬も使いません。有効な治療法がないなか、希望すれば最先端の治療薬に回復の望みを託すことができるのです。安全性に固執していた同省の従来の姿勢を考えると、大きな変化です。
治験の情報は、原則的に、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」のホームページで公開されます。患者は、主治医を通じて参加希望を伝え、主治医が担当医と協議し、製薬会社が治験参加を判断するという仕組みです。副作用が出た場合には、一般の治験参加者と同じく補償されます。欧米では、すでに広く運用されているそうです。
未承認薬が万能というわけではありません。けれど、それを求める患者に門戸が開かれるのは喜ばしいことですね。
[2015.11.26]
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