国立大学が組織再編で人文社会科学系学部を見直し。大学の「個性」は失われないか?
見直し対象となる人文社会科学系学部
文部科学省は、全国86校の国立大学が提出した、来年度から6年間の中期目標・計画を公表しました。半数の43校が「地方創生」や「技術革新」を目指して学部の組織再編に取り組みます。このうち26校が、「人文社会科学系の見直し」を掲げました。大学の「個性」は出せるでしょうか。
国立大学は2004年に法人化され、今回のような目標と計画の策定が義務付けられました。文科省がそれを精査し、年度内に認可を出します。今回、「人文社会科学系」の学部や大学院の再編をする大学は、次の33校です。
小樽商科大学、岩手大学、山形大学、茨城大学、筑波大学、宇都宮大学、群馬大学、千葉大学、東京外国語大学、横浜国立大学、新潟大学、富山大学、福井大学、静岡大学、名古屋大学、三重大学、滋賀大学、神戸大学、和歌山大学、鳥取大学、島根大学、岡山大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、九州大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学。
「国際地域学部」(福井大)や「データサイエンス学部」(滋賀大)など、時代や社会のニーズに対応した学部の開設、経済学部と経営学部の統合などが主な流れです。
変化は必要でも全国一律では意味がない
一方、外国人留学生の受け入れ数や日本人学生の海外留学者数について、数値目標を設定した大学が約8割に上りました。学生が、自分で問題を発見し、解決に向けて考えを深める「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる新たな手法を取り入れる学校も49校ありました。
社会状況が急変するなか、教育システムも、教員も変わらなければならない。ただし、その変わり方が全国一律で、個性を失っていては困る。時には、ニーズに縛られない無駄も必要です。多様性の中からしか、多様で有為な人材は育ちません。
[2015.11.10]
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