フランスにカツオ節工場を作れ! 全国一の生産量を誇る枕崎市の製造会社が、発想の転換で輸入の壁を乗り越えた。豪快な決断にエールを贈る。
輸入がNGなら現地に工場を作ってしまえ!
日本食ブームが世界中に広がっていますが、まだ、さまざまな「壁」があります。そのひとつが、なんとカツオ節。日本食の出汁の基本であるというのに、EUの食の安全規制にふれ、欧州では輸入がままなりません。それなら、現地のフランスにカツオ節工場をつくってしまおうという、豪快な経営者が現れました。その発想、その心意気やよし。応援しましょう。
なぜ、カツオ節の輸入が規制されるのか。事情通によると、カツオの切り身をいぶす過程でタールや焦げの部分がつきますが、その中に、発がん性物質の「ベンゾピレン」が基準値以上に含まれているから、といいます。乾燥や熟成にカビを使う点も、懸念されるそうです。このため、欧州の日本食レストランでは、調味料で代用したり、第三国経由で仕入れたりするとか。
無視されると思ったら、みんながおもしろがって......
こうした状況を打開しようと、フランスでカツオ節工場建設を目指しているのが、「枕崎フランス鰹節」(鹿児島県枕崎市)の大石克彦社長です。同社は、枕崎市などのカツオ節関連業者が共同出資して設立しました。フランス・ブルターニュ地方の港町、コンカルノー市の工業団地内に約3500平方メートルの用地を購入し、インド洋産のカツオを使って、1日1トンの原料から200キロのカツオ節を生産します。初年度の出荷額は1億円を見込んでいます。
全国一のカツオ節生産量を誇る、枕崎市。大石社長が、カツオ節製造会社の仲間や、枕崎水産加工業協同組合にアイデアを相談すると、斬新な発想に賛同が集まりました。日仏両政府の関係者からも、支援が得られました。「無視されると思ったら、みんな、面白いと言ってくれて......」「美食の国で認められれば、EU全体に広がる。日本食自体が普及していく」「10年後、20年後を見据え、一歩ずつ階段を上がっていきたい」と、大石社長は語ります。なんとも、痛快ではありませんか。
[2015.9.29]
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