楽天が丸紅と組んで電力の小売りに進出! 電力業界の規制緩和をにらみ、楽天市場に出店する中小企業へ割安の電力を販売するというアイデアで打って出た。
ネット業界の風雲児「楽天」のビジョンに括目せよ
「楽天」という企業は、やはり斬新です。来年4月、電力小売りが全面自由化するのをにらみ、大手商社「丸紅」と組んで、電力の小売りに乗り出します。ネット通販モールに出店する中小事業者に対し、丸紅が用意した割安の電力を販売するというのです。全く異分野に見える電力業界の規制緩和まで自分のビジネスに取り込む、そのビジョンは買いですね。
実際、「あっ」と思いました。電力の小売り自由化では、大手電力、新電力が顧客の獲得にしのぎを削っています。新電力が異業種と連携する動きでは、「東京電力」が「ソフトバンクグループ」と組んで、携帯電話サービスとのセット販売をする。「JX日鋼日石エネルギー」が「カルチュアコンビニエンスクラブ」と組み、Tポイントカードのポイント付与を行う、などがありました。いずれも優れたアイデアですが、既存のサービスを付加するという印象です。しかし、楽天の場合、主力ビジネス自体の競争力強化につなげるという、明確な意図が見て取れます。
「丸紅」の知られざる電力事業!
楽天は、再生可能エネルギー電源などで丸紅が保有する電力を調達し、インターネット通販サイト「楽天市場」の約4万2000の出店者や、旅行サイト「楽天トラベル」に加盟する約3万の旅館、ホテルなどに割安の電力を販売します。「楽天スーパーポイント」などポイントを活用した決済サービスや、簡易HEMS(Home Energy Management System)を活用した新サービスも開発します。2020年の目標として、国内の電力市場全体でシェア(市場占有率)5%を掲げました。
提携相手の見極めも見事ですね。一般には知られていませんが、丸紅は世界23カ国で電力事業を運営し、総計10GW超の持分発電容量を保有する企業です。国内では、長野県、山梨県、福島県などで水力発電事業、福島県で洋上風力発電実証事業を手がけるなど、着々と自社電源を確保しています。両社の展開は、「電力小売事業」分野で、新風を巻き起こす可能性を秘めています。
{2015.9.21]
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