「合同会社」の設立数がこの4年で3倍に。続く法人税率の引き下げを鑑み個人経営から法人経営に乗り換え節税する人もいるが......。
多くの業種に普及し、設立数は4年間で約3倍
「合同会社」をご存じでしょうか。2006年にできた新しい会社形態です。株式会社より14万円も安い6万円で設立でき、決算公告の義務がありません。株主総会が不要で、経営の自由度も高い。社債の発行が可能で、資金調達では、個人事業主より有利。さらに、安倍政権のアベノミクスで法人税率が下がり続けていることなど好条件が着目され、設立数は、この4年で約3倍に増えています。
ベンチャー向きとされる合同会社ですが、外資系企業のほか、IT、コンサルタント、介護、飲食、建設、不動産など、多くの業種で普及しています。西友、ユニバーサルミュージック、P&Gマックスファクター、日本ケロッグなど有名企業も、合同会社です。法人税と逆に、個人の所得にかかる所得税の最高税率は上がる一方で、個人経営から乗り換える節税目的のケースも増えています。法務省によると、2010年の7153社が、14年には1万9808社になりました。
中小企業向きの制度ではないが...
しかし、デメリットもあります。「知名度が低く、求人や取引先探しに苦労する」「社長は代表取締役を名乗れず、代表社員となる」「上場ができない」「大きな資金調達が必要な会社、急激な業務拡大を狙う会社には向かない」などでしょうか。所得が少ない個人事業者は所得税率も低いため、節税のメリットも大きいとはいえません。要は、中小企業向きの制度ではないのです。
朝日新聞が8月に行った、主要100社への景気アンケート調査では、51社が「財政再建への取り組みが足りない」と指摘しながらも、法人税の減税や金融緩和など、企業行動にかかわる項目が評価されていました。政府は、企業の投資を呼び込むため、法人税の税率を毎年度、引き下げ続けています。大企業は、アベノミクスの恩恵を感じている。それが経済の好循環を生み、中小企業に届く日を待っているわけですが、不公平感はまだ消えそうにありませんね。
[2015.9.12]
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