ユニクロが中国のネット通販をわずか3ヵ月で中止。背景に中国ネット通販業界の熾烈な競争が見えるが、策の拙速ぶりも垣間見える。
ネット通販販路拡大狙いの裏で
カジュアル衣料品の大手「ユニクロ」が、中国インターネット通販大手「京東集団」の仮想商店街サイト「京東商城」を通じた販売を中止しました。今年4月に事業がスタートし、わずか3ヵ月。背景には、中国ネット通販業界の競争があるようです。日経新聞が報じています。
海外ユニクロ事業は、2014年8月期の売上高が、前期比7割増の2081億円。中国・台湾で利益の半分を占めています。中国では、02年に上海市で1号店を開店以来、11年には店舗数が100を突破。ネット通販の売上高は全体の5%以上あり、中国ネット通販最大手の「アリババグループ」の仮想商店街サイト「天猫(Tモール)」が好調でした。ユニクロは、このネット通販のさらなる販路拡大を狙い、業界第2位の京東集団と業務提携したのです。京東集団は自社で商品在庫や物流を管理しており、「天猫より品質がよい」という消費者の評価もありました。
想定外の"速達サービス"
誤算は、京東集団の動きでした。京東集団は、ユニクロ専用の大規模倉庫をつくることを決め、ユニクロ京東店では、上海市内なら6時間以内に商品を届けるという異例の速達サービスを展開しました。これが、アリババグループとも協調しつつ、ネット通販の複線化を進めようとしたユニクロにとっては、想定外だったのです。京東集団の追い上げを嫌うアリババグループから、猛烈な抗議と反発を受けたと見られます。同グループの創業者はソフトバンクグループの取締役を務める、同社の孫正義社長の盟友。当然、配慮が求められます。
お互いに拙速だった?
ユニクロを経営する「ファーストリテイリング」の柳井正会長兼社長は、「あらゆるところと公平に組む」ことを信条とします。若者を中心に人気のユニクロと提携し、一気に「アリババ包囲網」を広げようとした京東集団には、手痛い失点でした。中国企業の競争、戦略の激しさ、契約に対する意識を読み切れなかったユニクロ側にも、反省点ありといえそうです。
[2015.8.5]
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