イランの核開発問題で関係国が最終合意!日本の安全保障政策にも関わる大転換で、原油の安定調達にもつながる追い風に。
イランの核開発疑惑に最終合意
2002年の問題発覚から13年、国際社会の懸案だったイランの核開発疑惑で、同国と米英仏独露中6ヵ国の協議が最終合意にこぎ着けました。今後8~15年間、イランの核開発研究やプルトニウム抽出などの活動が制限されます。ウラン濃縮用の遠心分離器の数も3分の1以下に減らされます。平和的な核開発の権利は認める一方、それを国際的な監視下に置くというものです。
日本の安全保障政策に関わる大転換ですが、今日は、原油調達に絞って考えてみましょう。
原油の安定調達の追い風に
原油埋蔵量で世界4位のイラン。かつては、欧米の経済制裁に反発し、日本の石油の8割が通る「ホルムズ海峡」を機雷で封鎖すると示唆したこともありました。そうなれば、日本は血液を止められたような状況に陥ります。安倍首相は、この事態を想定し、安全保障関連法案の成立を急ぐ根拠の1つとしました。しかし、今回の合意で「その可能性は低くなった」というのが、専門家の見方です。原油の安定調達につながる追い風となることは、間違いないでしょう。
エネルギー資源の乏しい国だからこそ
経済制裁が解除されることで、原油の増産と輸出増も期待できます。資源エネルギー庁では、イランは数カ月から1年の間に、日量70万~80万バレル程度、輸出を増やすだろうと見ています。現在、原油市場は供給過剰が続き、国際的な指標となる「米国産WTI原油」の先物価格が1バレル=50ドル台前半と、1年前の半分の水準で推移していますが、「原油価格に再び下方圧力が強まる可能性がある」という同庁幹部の見解を、日経新聞が載せていました。
エネルギー資源の乏しい日本は、安全保障の観点からも、安定した原油調達を最優先に考えなければなりません。過激派組織「イスラム国」の脅威、イラクの安定化、シリア、イエメンの内戦収拾のカギを握る国・イランは、今後も多くの波乱を引き起こしていく可能性があります。その動向を的確に見極めるため、国の状況分析力や情報収集力の強化が望まれます。
[2015.8.1]
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