新国立競技場の建設計画、白紙に! 財政難のなか、国の関係機関や関係者の呆れたコスト感覚にもの申す。
白紙撤回自体は評価すべきだが
東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画について、安倍首相が、「ゼロベースで計画を見直す」ことを表明しました。この財政難のなか、いったん決めたからと、2520億円もの巨費を投じて建設に突き進むなど許されません。白紙撤回自体は評価すべきです。しかし、一連の流れについて振り返れば、「呆れた」というよりほかはありません。関係機関や関係者は、税金を、そして、コストというものを何だと思っているのでしょうか。
釈明の言葉が「徹底的な議論はなかった」では......
工費が膨張した理由は、2本の巨大アーチで屋根を支える、イラク出身の建築家、ザハ・ハディド氏によるデザインです。1300億円の建設費を想定した、2012年の国際コンペで選ばれました。開催決定後、下村文部科学相も、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長も、「デザインの斬新さが、五輪招致レースで高い評価を得た」と繰り返し強調してきました。
ところが、結果はこの始末です。そればかりか、国際コンペで審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏まで、「コストについて、徹底的な議論はなかった」と釈明します。巨大アーチでいくらコストがかさむのかは判断しなかったでは、責任を負う専門家の資格はありません。
首相のリーダーシップが最大のカギ
政府は今後、半年以内にデザインと業者を決める予定で、今年秋頃までに総工費の大枠など新たな整備計画をつくります。約50カ月で設計・建設を終え、2020年春の完成を目指すというジェットコースター並みのスピードで工事が進みます。
デザイン選定や基本設計で失敗は許されません。「安かろう、悪かろう」でも困る。安倍首相は「できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画をつくっていく」と語っていますが、責任の所在や関係機関、関係者の権限のあいまいさがこの事態を招いたことを反省し、強いリーダーシップを発揮してもらいたい。
一方、私たちも、コスト管理がどれほど重要か、それを誤ればいかに破滅的な結果を引き起こすかを、他山の石としたいものです。
[2015.7.27]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 新国立競技場の建設計画、白紙に! 財政難のなか、国の関係機関や関係者の呆れたコスト感覚にもの申す。
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/2208
コメントする