次世代液晶パネル「有機EL」で出光興産は韓国LGと提携!日本電機メーカーには諦め?
出光が特許を韓国のLGに供与
ポスト液晶パネルと期待されている有機EL(Electro luminescence)に石油元売りの出光興産と韓国のLGディスプレーが手を組むことになりました。出光興産が持つパネル製造関連の特許をLGに供与し、LGがテレビ向けの大型パネル生産などに活用するといいます。
液晶の次は有機ELの時代が来るとこれまでいわれていましたが,コスト高などの問題から日本の家電メーカーは劣勢を余儀なくされています。
液晶より薄く,折り曲げも加工なEL
有機ELは、電圧をかけると発光する有機物でできた電子材料。液晶が画面の背後に光源が必要なのに対して,有機ELは材料そのものが発光するため、液晶パネルより薄く折り曲げたりすることも可能です。画質が高く、消費電力も少ないことから今後は、テレビ向けの大型パネルの材料として注目されています。
出光興産は、昭和40年代頃より多角化の一環として本業の石油事業以外の分野で有機ELの基礎研究を展開。昭和60年には有機ELの発光材料の開発をスタートさせました。
石油ニーズは平成11年をピークに減少傾向
出光興産が石油事業以外にも力を入れる背景には,石油ニーズの減少があります。省エネや低燃費車などの普及で石油製品の国内ニーズは,平成11年度をピークに減少傾向をたどり、24年度には2割少ない1億9,752万klまで減少しました。政府の試算では、30年度にはさらに1割程度減少するとの見込みを示しました。
石油ニーズ減少を見据え、石油元売り2位の出光興産は5位の昭和シェル石油を買収する方針で、そのためにも収益力の底上げが欠かせないとしています。
なぜ韓国のLGと提携?
では、なぜ出光興産は日本の電機メーカーでなく韓国のLGを選んだのか。LGは平成25年に世界で初めて大型の有機ELテレビを発売。有機EL市場を積極的にリードしてきました。これに対して日本の家電メーカーは有機ELには価格が高くなるなど距離をおきました。
有機ELの将来は,テレビ用パネルなどの普及にかかっています。出光興産はLGと組んで普及を後押しする方針ですが、市場が広がなければ提携解消などこれからの動向が注視されます。
[2015.6.10]
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