EV、FCV普及が追い風、「炭素繊維」自動車への採用新局面!日本の技術力で中国、韓国引き離す世界シェア7割
トヨタ「「ミライ」、BMWは、EV「i3」が採用
鉄の4分の1の重さで、強度は鉄の10倍の炭素繊維がEV(電気自動車)やFCV(燃料自動車)の登場で供給先を広げる動きがみられます。トヨタ自動車は、昨年12月に発売したFCV「ミライ」で炭素繊維を構造部品で採用。独BMWは、EV「i3」の骨格に炭素繊維を採用しました。軽量化による燃費向上の利点を生かし、従来は鉄だった一部構造部材にも炭素繊維は採用されました。
日本は、東レや帝人、三菱レイヨン3社で、炭素繊維の世界シェアの7割を占めています。日本企業3社は、エコカー普及を追い風に耐熱性など技術開発を進め活用領域を広げ、中国などの新興国力に対するリードを広げる構えです。
発電用風車やスポーツ用品にも採用は確実
炭素繊維は、ジェット旅客機やFCVのほか、発電用風車やスポーツ用品などで採用が広がることは確実。年率15%の伸びが見込まれる成長市場でシェアをさらに拡大し日本の「ものづくり」の技術力を示せるか試されます。
炭素繊維市場へは近年,中国や韓国,トルコなどの企業も市場参入し競争は激化。炭素繊維だけの生産技術では将来的に追いつかれる可能性もあります。これまで前出の2国には家電製品や自動車関連など日本の技術が不正流出した経緯もあります。日本企業は,樹脂の改良や,部品にする成形技術によって新興勢力と差別化を図ります。
FCV「ミライ」、成形時間を短縮し量産も可能に
FCV「ミライ」は、燃料電池スタックを載せる床部分「スタックフレーム」など3ケ所で、トヨタと東レで共同開発した炭素繊維部品を採用。構造部品のスタックフレームは、熱で軟化する樹脂を使った炭素繊維複合材料への成形時間は大幅に短縮。量産が可能になった上,走行時に石などが当たっても耐えられる強度を備えながら重量は3kgに抑えました。
東レの日覚社長は、「やっと自動車の構造部品に採用されるレベルまで持ってこられた」と、炭素繊維と樹脂の炭素繊維複合材料を採用した意義を強調しました。
帝人,320度でも使用できる炭素繊維複合材料を開発
一方,帝人は耐熱性を向上し,320度の環境でも使用できる炭素繊維複合材料を開発しました。ゴム状の分子量を調整し性質が変わる樹脂を改良。加熱時と冷却時の伸び縮みなどによる亀裂を防ぎ、自動車や航空機などのエンジン周辺部品への活用を見込みます。
東レ、帝人、三菱レイヨンの日本企業3社は、焼く温度や時間,無酸素状態の作り方などで高機能な炭素繊維の生産技術を確立。世界で海外企業に大きく差をつけていますが新たな技術開発で「炭素繊維=日本製」も現実味があります。
[2015.5.11]
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