タイヤ革命続々!~洗剤成分で高性能素材、米では「NOパンク」商品普及に向け発進
自動車タイヤ国内需要、減少見通し/新車・冬用販売落ち込みで
日本自動車タイヤ協会(JATMA/東京都港区虎ノ門3‐8‐21/会長:野地彦旬氏)は12月11日、2015年自動車タイヤ国内需要見通しを発表しました。これによると、2014年実績見込みと比べて3%減の1億1,816万本となる見通しとしています。
なお、新車用は、国内新車販売が減少に転じ、輸出車も引き続き減少するとし、同5%減の4,373万4,000本と予想。市販用は、夏用タイヤは前年並みですが、高水準だった冬用タイヤが過去2年より下回るとし、同2%減の7,037万8,000本を予想。夏用タイヤはほぼ横ばいの4,725万4,000本、冬用タイヤは同5%減の2,312万4,000本と落ち込む見通しです。
ブリヂストン×花王、共同開発で高機能タイヤ
国内の自動車タイヤ市場は縮小が続いていますが、技術革新は止まりません。株式会社ブリヂストン(東京都中央区京橋3‐1‐1/代表取締CEO兼取締役会長:津谷正明氏)と花王株式会社(東京都中央区日本橋茅場町1‐14‐10/代表取締役社長執行役員:澤田道隆氏)は11月19日、高機能タイヤゴム材料を共同開発したことを発表しました。
開発された「サステナブル分散性向上剤」は、ブリヂストンの基盤材料技術「ナノプロ・テック」と、花王の「界面制御技術」を組み合わせることで、タイヤの低燃費性能とグリップ性能の向上を実現。「止まる」と「滑る」元々は相反するはずの2つの性能を融合が、注目を集めています。
洗剤成分で「よく転がり、よく止まる」
サステナブル分散性向上剤はゴムとシリカの親和性を飛躍的に高め、ゴム内にシリカをより多く、より均一に分散させる配合剤です。
シリカとはタイヤのウェットグリップ性能と燃費性の向上を高度に両立させる充填剤ですが、水に近い性質を持つため、油に近い性質のゴムとは親和性が低く、ゴムに加えられるシリカの量には一定の制限がありました。
そこへ、花王が洗剤の分野で培ってきた水と油の界面(境目)を制御する技術を応用し、凝集しやすいシリカをほどいて、その表面をゴムに馴染ませることで多量のシリカを高度に分散させることに成功。結果、吸着量が従来品の約2倍まで引き上げたのです。
新配合剤は、3月にブリヂストンが発売した「ECOPIA EX20」にすでに導入されており、ウェット性能は従来品に比べて12%向上。今後はトラック・バス用や建設・鉱山車両用のタイヤにも活用する方針です。
パンクにサヨナラ?!ミシュラン「エアレスタイヤ」増産へ
タイヤの性能は常に進化していますが、避けて通れないリスクとしてまず挙げられるのがパンクではないでしょうか。しかし、ついにパンクしないタイヤの実用化も、夢ではなくなってきています。
ミシュランタイヤが開発する「TWEEL」は、空気もホイールもない「エアレスタイヤ」です。アイディアは約10年前に公表されていましたが、今年11月20日、ついに量産用の専用工場の開設が発表されました。
エアレスタイヤは、空気が無いので釘が刺さってもパンクはしません。耐久寿命もTWEELは従来のタイヤの3倍とも。まずは農業用トラクターや工事用作業車用といった用途からの実用化から始められる予定ですが、今から乗用車用製品の開発が待たれます。
ゴムタイヤの歴史も100年が経過しますが、節目にきて大きな革命がもたらされようとしています。特にホイール不要というエアレスタイヤが普及目前とあり、市場の変化も想像に難くありません。メーカー各社は大きな方針転換を迫られています。
[2014.12.18]
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