整備新幹線前倒し開業でJR収益は年6億円増!費用対効果は検証済みか国交省の財源試算
前倒し対象:北海道、北陸、九州新幹線
国土交通省の「整備新幹線に関する政府・与党のワーキンググループ」は11月19日、整備新幹線延伸3区間の開業を前倒しした場合、JR各社の収益が年間約5億9,000万円増えるとの試算を明らかにしました。
ワーキンググループでは、試算に当たり北海道新幹線新函館・札幌間を5年(現行計画:平成47年開業)、北陸新幹線金沢・敦賀間を3年(同37年開業)、九州新幹線長崎ルートの武雄温泉・長崎間を1年(同34年開業)をそれぞれ予定より前倒しし開業すると仮定。前倒しにより、地域間の交流人口が増えることなどが試算の背景にあります。
経済効果は年23億円
試算通りに予定より前倒しで開業した場合、JR各社の利益は北海道が年5億3,000万円、北陸と九州はそれぞれ3,000億円増加。人口が減り続けると仮定しており、早く開業するほど有利になる計算となっています。前倒し開業による経済波及効果は、北海道で年21億5,000万円、北陸で年1億1,000万円、九州で年2,000万円でした。
整備新幹線計画へは、未だ採算性を疑問視する声も多く、費用対効果の観点からも厳しくチェックし国民が得心できる明確な説明も必要です。国土交通省によると前倒しによる財源は、5,400億円と巨額の資金を捻出しなければなりません。
前倒し財源,旧国鉄社員の年金流用?
財源に関しワーキンググループ案は、必要資金5,400億円のうち2,000億円は3区間で新幹線を運行するJR各社が国に将来支払う施設使用料を担保に借入れすると試算。残りの3,400億円に関しては平成28年度までに上場を目指すJR九州の株式売却益を充てる案が示されました。
一方,売却益は旧国鉄社員の年金支払いなどに充てることが法律に明記されているため安易な流用は許されません。このため、国や地方に今より多く負担を求める案もあるものの、計画を見直すたびに新たな財源を考案する姿勢には疑問も残ります。
JRは国鉄から民営化、政治は変わらず旧態依然のまま
国鉄が民営化されて27年が経ち、JR各社は民間企業として自立するなか、公共交通を取り巻く政治だけは未だ旧態依然のようにみえます。国鉄を政治の道具に国の借金を増加させた過ちは二度あってはなりません。
来年3月には北陸新幹線が開業し東京・金沢間を約2時間半で結びます。金沢や周辺地域には観光資源も多く、地域活性化が期待されます。整備新幹線の前倒し開業することで、地域経済の波及効果がどの程度得られるのかしっかりとした検証が重要となります。
[2014.11.25]
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