JR東海リニア新幹線、名古屋・大阪間を前倒し開業!?東京・名古屋間「ドル箱」路線で収益蓄え工費の原資に
柘植社長、「借入金の返済が進めば場合によっては早くできる」
JR東海の柘植社長は10月29日、決算記者会見でリニア中央新幹線の名古屋・大阪間の開業時期について前倒しをする可能性を示しました。当初の計画では同区間は、平成57年の開業予定ですが「借入金の返済が進めば経営体力が増す。場合によっては早くできる」と述べました。
JR東海は、国鉄民営化の際に5兆円超えの長期債務がありましたが、最近の好業績で返済が想定を上回るペースで進んでいます。今年度末の長期債務は,想定より800億円減の2兆1,517億円になる見通しです。
JR東海:総工費9兆円を全額負担
JR東海は、リニアの総工費9兆円を全額負担しますが,全線を一気に建設すると長期債務が健全経営の指標である5兆円を超えてしまいます。平成39年に東京(品川)・名古屋間を開業した後,債務を返済しながら名古屋・大阪間の工事に着手するのが本来の計画です。
従来型の新幹線の工費は、JRと国,地元自治体の3者で費用を負担し合うのが一般的。しかし、JR東海は、すでに北海道、北陸、九州の整備新幹線の計画が進行中で「3線を待ってからでは遅すぎる」との判断で単独で建設に踏み切ります。
東京から新大阪:名古屋、乗車割合は6:4
東海道新幹線の利用客のうち、新大阪と名古屋で降りる客はほぼ6:4の割合。名古屋どまりでも一定のニーズは見込まれ、ドル箱の東海道新幹線で収益を蓄えながら巨額なリニア工費の原資を積み上げる計画です。
10月29日発表されたJR東海の今年9月の中間連結決算では、3期連続過去最高の利益を更新。来年3月期の業績予想も上方修正するなど、期待の声も広がります。
東京五輪決定で前倒し望む声が拡大
平成32年には東京五輪開催も決定し,開業前倒しを望む声や、地域活性化への期待から計画への注文も出始めています。これまで、リニアはJR東海が独自の判断でやっている計画とし、距離を置いてきた安倍政権も「大阪まで一気に建設したほうが経済効果が高い」、東京は、「品川駅でなく東京駅の下にターミナルをつくるべき」との声も報じられます。
リニア中央新幹線は、南アルプスのトンネルを貫くなど未知なる工事も予測されます。安全や環境配慮を優先に無理ない工事計画が望まれます。
●関連記事:「太田国交相、リニア新幹線の工事実施を認可!350兆円稼ぐ巨大経済圏の誕生で「地方創生」は大丈夫?」[2014.10.22配信]
[2014.11.11]
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