中国のレアアース輸出規制、WTOの裁定は日米欧の勝訴!進むチャイナリスクへの対応
GATTや中国WTO加盟議定書に違反
WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)は8月7日、日本や米国、EU(European Union:欧州連合)の申立てに基づいて審理されてきた中国のレアアースやタングステン、モリブデンに関する輸出規制について報告書を公表。WTOは、GATT(General Agreement on Tariffs and Trade:関税及び貿易に関する一般協定)や中国のWTO加盟議定書などに違反すると日米欧の主張を全面的に認めました。
中国は、平成18年以降、需要戦略資源のレアアースなどの輸出を年々削減。平成22年には輸出割当を大幅に削減し市場に混乱をもたらしました。
尖閣諸島、漁船衝突事件後には対日禁輸措置
レアアースは、ハイブリッド車や省エネ家電のモーターなどに使われる貴重な材料。中国は、世界最大の生産国ですが平成22年7月にレアアースの輸出枠を大幅に削減。タングステン、モリブデンともに輸出税を導入。日本は同年9月、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後に、対日禁輸措置という外交カードを使われました。
日米欧は、この措置がWTO協定に違反するとして平成24年、WTOに提訴していました。日米欧の主張は全面的に認められ勝訴が確定。中国に輸出規制を速やかに是正するよう勧告します。
中国以外での採掘や技術革新でレアアース価格は下落
中国のレアアース価格は、平成25年下半期(7月〜12月)から下落が続き、市場では過剰供給の状態にあります。中国国外でのレアアース採掘量の増加や、技術革新による代替え資源の導入などが一因となっています。
中国のレアアース輸出量は、今年上半期(1月〜6月)に前年同期比38.3%増となったものの、輸出額は平成24年に比べ36.7%も減少しました。
衝突事件後は中国以外での調達拡大
日本は、中国漁船衝突事件後に中国以外での調達先を拡大。オーストラリアやカザフスタン、インドでも対日レアアース輸出を正式に承認しています。また,日本の排他的経済水域内の南鳥島沖ではレアアースを含んだ泥が発見され資源化も計画されています。
一方、自動車メーカーではハイブリッド車からのリサイクルやレアアースを使わないモーターの開発も進行。脱中国レアアースの動きは進み、中国は価格競争力を失ったばかりかWTOの敗訴で輸出規制カードもなくなりました。
[2014.8.23]
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