街角景気調査、3ケ月連続改善!懸念は物価上昇に追いつかない実質賃金
好不況を表す境目、4ケ月ぶりに50ポイント超え
内閣府は8月8日、7月の景気ウォッチャー調査(街角景気調査)を発表。街角の景気の実感を表す現状判断指数は、51.3と前月から3.6ポイント上昇。改善は3ケ月連続で、好不況を表す項目50を4ケ月ぶりに上回りました。
内閣府では,基調判断を「緩やかな回復基調が続いており、駆け込み需要の反動減の影響も薄れつつある」とし、前月から据え置きました。調査では、消費税増税の影響はほぼなくなっているとの声が多く聞かれました。
先行き判断指数は2ケ月連続悪化
調査は、景気に敏感な小売業など2,050人が対象。現状判断指数は、3ケ月前と比べ「良い」から「悪い」まで5段階で評価して複数化しています。
2~3ケ月後の景気を占う先行き判断指数では、前月から1.8ポイント低下し51.5と2ケ月連続で悪化。消費税増税の駆け込みニーズの反動減の収束に期待がかかる一方、電気料金やガソリン価格の上昇、食品など日用品の価格上昇に実質賃金の上昇が追いつかず懸念の声も聞かれます。現状判断指数が大きく改善するなか先行き判断指数が悪化する状況は先月と同様。消費税増税の影響は薄れつつあるものの先行きについては消費者心理の改善とまでは至っていません。
百貨店、コンビニは好調、商店街・小売は改善みられず
現状の景況感は、全国11地域全てで3ケ月連続改善。分野別でみると雇用の低下が続くものの、企業と家計はそろって上昇。ただ、小売では業種により回復度合いに差があり、百貨店やコンビニエンスストアなどは50を上回る水準まで改善したのに対し、商店街・一般小売店や乗用車・自動車備品販売店は40台にとどまっています。
消費税増税後の閉塞感は緩和されつつあるものの、様々な食品の価格高騰から値上げ実施を余儀なくされ売上高への悪影響が懸念するコンビニエンスストアの指摘もありました。また、輸送業では、燃料の軽油価格が高値で推移し改善する気配がないと悲観的です。
実質賃金、減少傾向は変わらず。
厚生労働省によると、物価上昇分を差引く実質賃金は前回消費税増税時の平成9年の4月に0.1%増だったのに対し、今年4月は3.4%の大幅減。消費増税の駆け込みとその反動をならすため今年上半期(1~6月)の個人消費は、昨年下半期(7~12月)に比べ0.4%減少しました。
一方、内閣府の調査では、消費者心理は7月まで3ケ月連続改善し景況感は「良い」とみる人が「悪い」を上回りました。
消費税10%時代の
安倍政権は民間主導での気回復シナリオにより、来年10月に消費税率を10%に引上げる判断を、11月に公表される7~9月期のGDP(国内総生産)を参考にしながら最終判断します。消費税増税前の駆け込み需要、増税後の閑散とした景気が、また繰り返されるのでしょうか。政権の主張する民間主導の景気回復シナリオが見ものです。
[2014.8.19]
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