EDWIN:伊藤忠傘下で経営陣交代/衰え知らずのブランド力活かし、海外展開も期待
事業再生ADRで再出発のEDWIN、伊藤忠から経営陣派遣
伊藤忠商事株式会社(東京都港区北青山2‐5‐1/代表取締役社長:岡藤正広氏)は7月4日、常務執行役員の久保洋三氏がジーンズ大手:株式会社エドウイン(東京都荒川区東日暮里3‐27‐6)の代表権のある会長に、繊維事業を統括していた大塚丈二氏が社長に就任したことを発表しました。会長、社長を含め5名の取締役をエドウインに派遣します。
エドウインは平成24年に証券投資の失敗で500億円規模とされる巨額損失が発覚し、25年に私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請。今年3月には伊藤忠とスポンサー契約を締結し、5月末の債権者会議で計画が認められて事業再生ADRは成立。主要取引金融機関が計200億円超の債権を放棄し、伊藤忠が300億円超の資金援助を行うなど、大掛かりなスキームも実施されています。このなかで、伊藤忠がエドウインの全株式を取得。6月末に完全子会社にしました。
競争力強化見込む円満コネ人事
「子会社化」「経営陣交代」という言葉だけを見ると強引な買収劇が想像されますが、エドウインと伊藤忠は元々、素材提供などで長年にわたって取引のあるビジネスパートナーでした。
また、新会長に就任した久保氏は、伊藤忠では衣料品の物流管理やマーケティング、ジーンズの生地調達や製品企画など幅広く手掛け、業界に幅広い人脈を持つ人物とのこと。伊藤忠傘下入りにより、素材調達コストが抑えられ、価格競争力の強化が見込まれます。
新会長「高級イメージ前面に」欧州展開へ意欲
久保新会長は就任同日、「エドウインは欧州や中国で高級なイメージがある。伊藤忠の海外パートナーを通じて欧州などで伸ばす」と強調。約1年かけて海外拠点の配置などを見直す方針です。
国内の工場と2,000人強の従業員の雇用は維持するとのこと。「国内のジーンズの販売は減っていない。コアである8,900円以上の商品を磨く」とも語りました。
エドウインはこれまでも既に欧州や中国など海外市場に進出していますが、業界には「伊藤忠の世界的な販売網を活用し、海外展開が加速化する」との期待も広がっています。
ファストファッションは敵に非ず/衰え知らずのブランド力
そもそもエドウイン破綻の原因は「証券投資の失敗に伴う経営悪化」。「BOBSON」や「BIG JOHN」といった競合は、ユニクロをはじめとした低価格商品のあおりを受け販売不振に陥った末にその名を消しましたが、それとは一線を画しているのです。
エドウインの人気を支えてきたのは、優れたマーケット調査・商品開発力。日本人に合ったデザイン、スタイルのジーンズを開発し、輸入ジーンズにはない着心地のよさやデザイン性の高さは、今も変わらず幅広い年齢層に支持されています。
前社長の「国内製造」志向引き継ぐ
エドウインは、他社を圧倒する国内13の自社工場で製造することで手ごろな価格での提供も可能にしてきました。前代表取締役の常見修二氏は国内製造へのこだわりも強く、父親から引き継いだ衣料品店を優れたブランド展開でエドウインとして成長させ、業界を牽引してきたカリスマとしても有名です。
証券投資の失敗に伴う経営悪化の責任を引き受け、常見氏以下5名の取締役が現場を去ることとなりましたが、久保新会長は国内工場の維持も明言。経営者の意志は引き継がれ、さらなる躍進を目指します。
[2014.7.18]
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