消費税増税分、商品やサービスに価格転嫁「できていない」が1割!小売・飲食業が恐れる「客離れ」
商工会調査:「転嫁できてる」6割
日本商工会議所は7月2日、消費税増税分を商品やサービスの価格に転嫁できたか全国の中小企業を対象に調査結果を発表。4月の消費税率引上げで「転嫁できている」と回答した企業は62.7%。「一部転嫁できている」の26.8%を合わせると約9割の中小企業が商品やサービスの価格に消費税増税分を転嫁できました。
一方,「転嫁できていない」と回答した中小企業は10.5%。小売や飲食業など「値上げにより客の減少が心配」との声も寄せられ転嫁を見送るケースもありました。
経産省・公取委連携、円滑な価格転嫁を監視
経済産業省は6月11日、今年5月末までの消費税転嫁対策の取組み状況を公表。同省では消費税率引上げを踏まえ,円滑な増税分の価格転嫁を確保する観点から公正取引委員会と連携。監視・取り締まりの強化や事業者からの相談対応の拡充など一体的に実施し、転嫁拒否の未然防止や違反行為への是正を行います。
全国約630人の転嫁対策調査官による違反行為への指導は5月末までに1.232件あり違反行為には厳正に対処。調査官らはスーパーやホームセンター、商店街など10,709件を訪問し消費税の転嫁拒否など行っていないか調査しました。
効果あった?消費税転嫁対策特別措置法
昨年10月には消費税転嫁対策特別措置法が施行され、大規模小売業者などでは増税分を価格転嫁しない納入業者に値引きなどを強制する行為は違法となりました。9割の事業者が価格転嫁できたことは、安倍政権が旗振りをして増税分転嫁を進めた効果でしょう。
平成9年に消費税が3%から5%に引上げられた際には「便乗値上げは許さない」が政府の旗印となり今とは逆の状況。増税分を上回る値上げをする業者がやり玉に上がる傾向がありましたが、現在では円安による原資材料やエネルギーコストの上昇で必然的に商品やサービス価格は上昇傾向です。
転嫁できない理由:「価格競争が激しい」
消費税増税分の価格転嫁がすすむなか、約1割の企業では依然転嫁できず収益を圧迫させています。経済産業省が4月に行った調査では,価格転嫁ができない理由として61.3%の事業者が「価格競争が激しい」、32.5%の事業者が「消費者の財布の紐が固い」と深刻な状況です。
安倍首相は、来年10月の消費税率10%に引上げについて「デフレ脱却が困難な場合は引上げない」との方針。1年で消費税が倍となれば事業者や消費者の消費心理にも懸念が残ります。消費税率引上げから3ケ月経ち、これからの経済状況が注視されます。
[2014.7.10]
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