関空、伊丹両空港の運営権2兆円強で売却!民間資金、ノウハウ活用するPFI最大事業
45年の長期運営権を民間へ譲渡
国が100%出資する新関西国際空港会社が、関西国際空港と大阪伊丹空港の運営権売却の入札条件に最低落札額を2兆円強で調整していると6月29日報じられました。運営期間は45年間で毎年平均4,000億円以上を支払い、この収入で新関西国際空港会社は約1兆2,000億円の負債を完済する計画です。
条件通り落札されれば民間資金活用によりインフラを整備するPFI(Private Finance Initiative)事業で国内最大規模となります。入札条件など盛り込んだ実施方針を国土交通省の承認を得て今月公表する予定です。
高速道の空中権、羽田・成田間地下鉄などPFIで議論
PFIは、公共施設の建設や維持管理,運営などを民間の資金やノウハウ、経営力を活用する手法。安倍政権の成長戦略の中核的計画としてこれまで高速道路の空中権の活用や、羽田・成田空港間の地下鉄建設などが産業競争力会議などで議論されてきました。
PFI法は平成11年、好転しない経済環境と行政の財政赤字が危機的状況のなか、行政の効率化と財政の健全化を目的に施行。内閣府の発表では,平成22年12月時点で375事業、総事業費は3兆円を超えるとしています。成長と言うよりは行政の後始末と後ろ向きな戦略のようにもみえます。
企業連合が入札しSPCを共同出資,設立
入札には複数の企業が連合を組んで参加し,有利な条件を示した企業連合が優先交渉権を得て運営するためのSPC(Specific Purpose Company:特定目的会社)を共同出資で設立。SPCは資産流動化法に基づき設立される特定の目的を持った企業。金融機関や不動産大手、総合商社のほか、空港運営のノウハウをもつ外資も関心を示しています。
空港運営の開始時期は、新関西国際空港会社の株主である国土交通省や財務省との調整を踏まえ、平成27年度後半になる模様です。
関空・伊丹空港運営:前年度は黒字に転換
新関西国際空港会社が5月に発表した平成26年3月期の連結決算は、売上高が1,268億円、営業利益は326億円と黒字に転換。平成24年7月から両空港の一体運営を始めたばかりで比較はできませんが、関西国際空港の24年4月〜6月の実績を加え比較すると売上高は25%増。LCCの就航増を背景に観光客が大幅に増えたことが追い風となりました。
PFIは、これまで償却期間が長いなど懸念材料もあったものの、企業連合による民間資金の流入で関西の空の活性化を図れるか入札が注視されます。
[2014.7.9]
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