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4月ビール出荷21%減:ビール酒造組合/増税反動減か?前例ない下落率

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ビール出荷量21%減/過去最大の落ち込み
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5月14日、「ビール酒造組合」と「発泡酒の税制を考える会」が国内大手ビールメーカー5社(サッポロビール、アサヒビール、キリンビール、サントリー酒類、オリオンビール)の4月のビール系飲料(発泡酒、第3のビールを含む)の出荷量を発表しました。これによると、前年同月と比べた減少幅が21.0%で、平成4年の統計開始以来、最大の落ち込みとなりました。
4月の出荷量は、2,944万ケース(1ケース=大瓶20本換算)。過半を占めるビールのうち、業務用は8.4%の減少ですが、落ち込みが目立ったのは家庭用で、20.3%もの減少となっています。

「駆け込み需要の反動減」も「賃金UP」で帳消し?夏以降は消費持ち直し見込み
この落ち込みの大きな要因は消費増税後の「買い控え」と見られていますが、消費税率が3%から5%に引き上げられた平成9年4月の減少幅は6.5%。今回は3月の駆け込み需要による増加幅が大きかった分、反動減も大きく出たかたちです。
なお、今年1~4月の出荷量累計は前年同期比0.5%増で、ほぼ前年並み。また、気温も上がり始め、ゴールデンウィーク明け頃から徐々に持ち直し始めている様子です。
5月の中旬からは、関東でも30℃を超えるなど気温が上昇し、ビールの一際おいしい季節が到来。「消費税増税」と同時に報じられた「賃金アップ」がビールをはじめとした嗜好品の売上の変動にどう反映されるか、気になるところです。

増税後の夏商戦、新進ブランドに商機アリ
駆け込み需要の反動は、家電や住宅など、なかなか買い替えることのない「大きな買い物」には顕著ですが、ビールなど、日常的に楽しむ嗜好品については「落ち込みも長くは続かない」との見方もあります。
また、サントリー酒類は消費増税後の4月8日から"和食と一緒に楽しめる"をコンセプトに開発された和食専用の生ビール「和膳」を発売していますが、出荷当初から好調で、一斉出荷量(発売初週末の4月12日)は30万ケースと、当初計画の2倍に。4月月間の出荷数量計画の23万ケースを、一斉出荷の段階で達成したと報じられました。
多くのメディアでも指摘されているように、過去の増税時よりも今回は消費者の行動が冷静になっている様子も見受けられます。「和膳」のように、増税後発売された商品の出荷が好調なことを考えると、消費増税による景気の落ち込みも国内景気へのマイナス景況も、軽微で済むような期待が持てます。

小売市場は冷夏を警戒
そこで気になるのが今夏の気象状況。夏場がかき入れ時のビールは平成15年、21年の冷夏では大きな打撃を受けました。
日本気象協会は今夏、南米ペルー沖の太平洋赤道海域で海面の水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が発生する可能性が高く、北海道から九州の7月は、曇りや雨の日が多くなると予想しています。
増税前の駆け込み需要の反動に悩むのはビール業界だけではありません。エアコンや水着など夏向け商品の売り上げが業績に大きく関わる産業は多く、温暖化が叫ばれるなかでも、冷夏による販売不振が強く警戒されます。

[2014.6.5]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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