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「ホッカイロ」の白元:民事再生法申請/エドウィンADR成立!債権放棄230億円

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「白元」が民事再生の適用を申請/「アイスノン」「ミセスロイド」などヒット商品多数
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5月29日、日用品メーカーの株式会社白元(東京都台東区東上野2‐21‐14/代表取締役社長:鎌田真氏)が東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。
白元といえば「アイスノン」や「ホッカイロ」、「ミセスロイド」、「ソックタッチ」など数々のヒット商品を世に送り出し、非上場ながらも知名度が非常に高い企業。平成22年3月期の売上高で約332億円を計上していました。
しかし、近年は量販店などでの値引き販売で利益が出にくくなり、業績が悪化。また、防虫剤市場では同業大手のエステー株式会社(東京都新宿区下落合1‐4‐10/取締役会議長兼代表執行役会長(CEO):鈴木喬氏)に押されるなどして、25年3月期は売上高が約304億円に落ち込んでいます。

「ホッカイロ」売却も粉飾指摘で自力再建断念/負債総額255億円
このため、新製品の開発強化を目的に25年には住友化学株式会社(東京都中央区新川2‐27‐1/代表取締役社長・COO:十倉雅和氏)に対し第三者割当増資を実施。今年1月には収益性が低いカイロ事業を興和株式会社(愛知県名古屋市中区錦3‐6‐29/代表取締役社長:三輪芳弘氏)に売却するなど、経営改善に努めていました。
ところがその後、白元の決算に不明朗さが指摘され、ずさんな経理処理が発覚、同社は金融機関に今年3月末から6月末までの返済猶予などを要請しましたが、金融機関は白元支援でまとまらず、取引先も事態を重く見たことから自力再建の道が絶たれた形です。
負債総額は約255億円。鎌田真社長は辞任し、6月1日付で間瀬和秀取締役が社長代行に就任。事業を継続しながら再建を図ります。

「再生」応援する意識薄い?日本の報道姿勢に疑問
今回の白元に限ったことではありませんが、企業の民事再生法申請が報じられる際、多くのメディアで「経営破綻」と表わされます。
民事再生法には「再生」という前向きな言葉が入っていながら、「倒産」や「経営破綻」など、ネガティブなイメージを連想される方が多く、メディアの論調も「破綻」的なニュアンスとなります。
今後、民事再生法が適用されるかどうか、という問題はありますが、実際に破綻していたのは民事再生法を申請するまでであって、申請を決定した時点で企業は「再生」に向かっているはず。本来はその企業がどのように再生するかが注目されるべきなのです。
それにもかかわらず、影響力の大きいメディアで安易に「経営破綻」と報じている現状を鑑みると、日本社会ではまだ「再生」という概念が希薄なようだと感じざるを得ません。

エドウィンは事業再生ADR成立!債権放棄230億円、伊藤忠の子会社に
なお、「白元民再」が報じられた同日、日本が世界に誇るジーンズメーカー、株式会社エドウィン(東京都荒川区東日暮里3‐27‐6/代表取締役:常見修二氏)は事業再生ADRの成立を発表しました。約230億円の債権放棄を受け、伊藤忠商事株式会社(東京都港区北青山2‐5‐1/代表取締役社長:岡藤正広氏)の完全子会社となって再建を目指す計画です。
同社は証券取引失敗による巨額損失が発覚して以来、2年弱で経営再建が進むことになりました。平成25年5月期の決算は、売上高が約499億円、営業利益が約74億円と堅調で、経営問題が表面化した後も人気は衰えていない様子。過去の問題をクリアし、今後のさらなる盛り返しを期待したいものです。

[2014.6.4]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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