東レ・帝人:炭素繊維複合材のリサイクル技術確立!新興勢力の参入は不可能/航空機、自動車にリサイクルマーク?
炭素繊維複合材:航空機、自動車など燃費性能を向上
東レは、航空機や自動車など軽量化で大幅な燃費改善を図る炭素繊維複合材のリサイクル事業に乗り出す方針を示しました。炭素繊維複合材は、軽量ながらも鉄の10倍以上の強度を持ち、高い耐熱性を持つため再処理は難しいとされましたが、東レや帝人など同業で構成する炭素繊維協会でリサイクル技術を研究。廃材から炭素繊維を取り出す技術を確立し、自動車部材などで再利用する方針です。
リサイクル事業は,自動車や航空機部品の生産拠点が集積する中部地区に開設。平成28年度までに事業を始める方針です。
リサイクル技術:技術優先で同業他社が協力
炭素繊維複合材は,過熱すると柔らかくなり比較的容易に炭素繊維と樹脂に分離できる熱可塑性タイプと、分離が困難な熱硬化性タイプの2種あります。
炭素繊維協会では、平成20年より福岡県大牟田市に炭素繊維リサイルクルのための実証実験用施設を建設し、研究を継続。リサイクルがこれまで難しいとされた航空機向けなどニーズの高い熱硬化性タイプについて、窒素中で500〜900度過熱させ樹脂を分離させることを成功させました。新たな技術には時間がかかるもの、同業メーカーと協力し、技術を確立させるなど技術優先にはライバルも関係ない時代です。
これまで廃材は埋め立て処理、リサイクルが課題に
炭素繊維関連の廃材は、世界で年間1,000〜2,000トン近く発生しているとみられ、現在は埋め立てられ処分されリサイクルのあり方が課題となっていました。
一方,炭素繊維複合材料の世界ニーズは、現在の約5万トンから平成27年度には約7万トン。32年度には約14万トンへ急拡大されると予測されています。リサイクルが可能となれば資源の有効活用にも繋がり新たなビジネスにもなります。
最先端素材のリサイクル事業の確立で取り出した炭素繊維は、自動車部材などに使われる熱可塑樹脂に混ぜ込むなど、今後は自動車部品メーカーなどと連携し事業展開されます。
欧州、アジアメーカーは成長する炭素繊維事業から撤退
炭素繊維複合材は、これまで欧州や中国,韓国、台湾メーカー約20社でも研究開発されたものの、商業化に至らず撤退。東レの炭素繊維事業は、昭和61年から本格的に生産を始め,平成16年からはボーイング787機向けに納入を開始し,急速に売上げを伸ばしました。平成24年からは自動車市場へも本格参入しています。
東レの日覚社長は3月14日、日本記者クラブで「東レのイノベーション」について講演。革新的な素材開発には時間はかかるものの、新興勢力の参入への障壁は高く中長期的にも優位性を継続できることに自信を示しました。日本のものづくりの底力、新たなリサイクル技術もそう簡単にはパクられず、そのうち飛行機や自動車の車体にもペットボトルの様な「リサイクルマーク」が貼られるでしょう。
[2014.3.25]
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