国内産業:18年後には製造、卸・小売業抜いて医療・福祉がトップに/労働政策研究・研修機構
日本再興戦略:経済・雇用政策なければ労働力872万人減
労働政策研究・研修機構は、昨年6月の「日本再興戦略」の成果目標を踏まえ、平成42年までの労働力人口及び産業別就業者数を推計。平成42年の労働力人口は、平成24年の労働力率と同水準で推移した場合、6,555万人から872万人減少する見通しを示しました。
一方、政府による経済や雇用政策を講じて経済成長とともに労働市場への参加が進み、実質2%成長した場合は270万人の減少にとどまると推計しました。成長産業へのスムーズな労働力移動が成長の鍵となります。
労働力:医療・福祉は増加,製造、卸・小売は減少
平成42年の産業別就業者数では、平成24年と比較し医療・福祉が202万人増え908万人に増加。また、製造業全体の就業者数は1,032万人から162万人減の870万人に減少。卸売・小売業でも287万人減少と推計。医療・福祉が製造業、卸売・小売業を抜き就業者数で首位と予測しました。
日本再興戦略では、日本のものづくり製造業の復活が掲げられるものの、就業者数は減少。医療・福祉に安倍政権が掲げる女性や高齢者など労働参加の取込みが必要となりそうです。
卸・小売7.7万事業所新設,廃業も25.9万事業所
経済産業省の「経済センサス・活動調査」によると、平成21年から24年まで新設された事業所は44万2,562事業所。このうち最も多いのは卸売・小売業の7万7,761事業所となるものの、廃業事業者数でも卸売・小売業は最多の25万9,274事業所。医療・福祉の新設事業所は3万1,421事業所にとどまるなど今後、十数年かけ成長への労働力移行ができるか注視されます。
日本再興戦略では、女性の労働市場への参加が進み、65歳までの雇用も高まり働く環境が整うとしています。今後、医療・福祉への労働力の移行、さらなる事業所の新設が進むか課題となります。
成長戦略「失業なき労働移動」リストラした企業に60万円支給!雇用調整助成金方針転換
従業員を成長産業などに転職させる企業には、移動支援助成金が今月から大幅に拡充。安倍政権が掲げる成長戦略の「失業なき労働移動」の目玉政策。業績不振の企業へリストラを促し、人手不足の成長産業に転職させることでこれまで40万円だった助成金は60万円に増加。再就職支援会社へ転職を依頼するだけで10万円が支給され、これまで中小企業が対象でしたが大企業にも適用とします。
これまで余剰人員を守ってきた雇用調整助成金は、平成26年度予算で削減。人手不足とされる福祉・介護や建設などへの流動を促す狙いですが,何十年もやってきた業務を簡単に切り替えられるか、霞ヶ関の机上の計画通りいくか注目されます。
[2014.3.19]
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