豪雪被害で再認識される「企業の危機管理」/電力不安で見直されるガス、大阪ガス:太陽光との合わせ技でBCP
「企業の危機管理」豪雪で重要性再認識
3月を迎え、春めいた日差しも感じられるようになってきましたが、各地に大きな被害をもたらした2月の豪雪はまだ記憶に生々しいものです。交通網麻痺、物流寸断、孤立集落や凍死者まで出した「雪害」を見るにつけ、各個人から自治体や企業の危機管理の重要性を痛感します。
大雪や地震、台風など自然災害に有効な対処方法を持たない中小企業の事業中断は、その後の事業縮小や従業員解雇といった問題を引き起こします。復旧が大幅に遅れた場合には、廃業や倒産にも至りかねません。災害や事故などの損害を最小限にとどめ、経営を早期に回復、継続させるための危機管理が求められています。
東日本大震災から3年「転ばぬ先の杖」も浸透
ヒト、モノ、情報が制約される緊急時に、人員や設備、資金などの資産を準備し、緊急時における事業継続の方法、手段などを取り決めておく計画をBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)といいます。中小企業庁は平成18年に「中小企業BCP策定運用指針」を公表しました。
当初は「『転ばぬ先の杖』にお金と時間をかけるなんて...」と敬遠する企業も少なからずありました。しかし、平成21年の東日本大震災発生以降、近年頻発している夏季のゲリラ豪雨による洪水・土砂崩れなどの大規模な自然災害の発生も相まって、「危機管理」という概念は中小企業にも広く浸透してきたという実感はあります。
電力不安で市場拡大「ガスコージェネレーションシステム」
IT化の進んだ現在は各種の業務をコンピュータシステムに依存しており、事業を継続するうえでは、空調や照明、パソコンや通信機器を、可能な限り長く使える状態に保つことが重要になります。そのため、様々なインフラの中でも特に、電力の供給がストップした場合の対策が最優先されます。
東日本大震災以降は電力供給に対しての不安が広まっており、「オール電化」の普及した一般家庭にも、ガスで自家発電をおこなう「ガスコージェネレーションシステム」が売り込まれています。
大阪ガス:太陽光との合わせ技で1日分以上のエネルギー供給
大阪ガスは自社ビルにBCPの機能を実装し、平成25年12月~26年1月の2ヶ月間でエネルギー消費量を40%削減することに成功しました。ガスを使った省エネ設備と太陽光発電システムを組み合わせて、1日以上の停電が発生しても事業の継続に必要な機器類にエネルギーを供給できるとのこと。2月からは本格的な運用体制に移行して効果を検証中で、自社ビルの実績を生かして、企業や自治体にBCP対応の設備を普及させていく方針です。
過去に危機対応マニュアルを作成したものの、実用されないままお蔵入りになっている企業も少なくないかと思います。東日本大震災から3年。強烈な体験を記憶に刻みつつある今こそ、生きたBCPを再構築する好機です。
●関連記事:「損保ジャパン1万5千人の社員に在宅勤務導入!BCPや業務効率の向上、夏の節電にも効果」[2012.5.10配信]
[2014.3.7]
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