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金融円滑化法終了後も続くリスケジュール申請、アベノミクス第三の矢の効果は!?

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中小企業向けリスケ、法案終了後も申請は増加
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金融庁は昨年12月26日、金融機関650社における中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)の昨年9月末時点の状況を公表。同法は、昨年3月末で終了したものの金融庁の行政指導により中小企業の負担や、個人の住宅ローンのリスケジュールへの対応を変えないことを金融機関へ要請しています。
同法が期限切れとなった昨年度上半期(4月~9月)の中小企業による金融機関へのリスケジュールの申請数は、58万8,624件と、前年同期の61万6,186件から若干減少したものの、これまでの総申請数490万845件は中小企業への負担が重くのしかかる状況が浮き彫りなっています。

住宅ローンのリスケ効果、不動産競売は減少
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一方、個人向け住宅ローンのリスケジュールは、昨年度上半期に2万8,143件が申請。
前年同期の3万4,942件から減少したものの、これまで合計34万6,639件と高い水準にあります。
中小企業金融円滑化法が平成21年12月に施行以来、リスケジュールにより不動産競売も翌22年から減少傾向です。
同法は、住宅ローン負担の猶予期間に景気回復を見据え、持ち直しが期待されたものの空白の民主政権3年が過ぎ未だ解決の見通しが立たないのが現状です。アベノミクスによる経済効果で大企業は業績回復。安倍首相は従業員の賃金上昇を企業に要請していますが、30万件を超える住宅ローンのリスケジュールが解消できるほどの効果は期待できません。

円滑化法利用後の倒産/12月は減少、年間では76.1%増加
東京商工リサーチ社が1月6日発表した、昨年12月の中小企業金融円滑化法利用後の倒産件数は18件と1年4ケ月ぶりに20件を下回りました。単月では減少したものの、昨年1年間では451件と前年の256件から76.1%増加しているのも現実です。
金融庁では、アベノミクスで中小企業の倒産増加を急増させるわけにはいかず、メガバンク3行へ「反社会的勢力へずさんな融資をするのに中小へは融資を絞るのか」との圧力も聞かれます。優良な中小企業を目利きで探り出し、時には中小企業同士、統合・再編を実行させ生き残りを図れるかが注視されます。

アベノミクス第三の矢の効果現れる前に建築資材の高騰、職人不足
今年4月には、消費税が8%に引上げられ中小企業に迫られるのは、値上げか増税分を転嫁できず収益減少か深刻問題です。アベノミクス第一の矢である大胆な金融緩和、第二の矢の機動的な財政出動とここまでは為替、株価とも成果が出ていますが、これからの成長である第三の矢、成長戦略がいつ中小企業へ反映されるか成果が急がれます。
中小企業金融円滑化法の再三の延長、さらに終了後には金融庁は行政指導で、リスケジュールなど同等の対応を金融機関へ求めています。公共工事や設備投資による経済効果の第三の矢は、効果が現れる前に建築資材の高騰、職人不足が原因で、公共工事の入札不調も続き新たな難題に直面しています。

[2014.1.10]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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