「求職者全員に仕事あります」有効求人倍率6年ぶりに1倍に回復!
アベノミクス、円安で製造・建設業の求人増加
厚生労働省は昨年12月27日、11月の有効求人倍率(季節調整値)が前月から0.02ポイント上昇し、1.0倍と平成19年10月の1.01倍以来6年1ケ月ぶりに1倍台にのせたことを発表。アベノミクス効果による景気回復期待や円安などを背景に製造業やサービス業、建設業などで求人が増加しています。
特に製造業では、電気機械器具や非鉄金属を中心に前年同月から20%増と6ケ月連蔵増加。今年4月からの消費税率引上げ前の駆け込みで住宅ニーズから建設業でも同11%増と牽引しました。厚生労働省では、「リーマンショック前の情勢に戻りつつある」とみています。
1.0倍、数字だけを見れば求職者全員に職がある
有効求人倍率は、仕事を探している人1人につき、働き口がいくつあるかを示す数値。1.0倍であれば全ての求職者を満たす求人があることを示し、倍率が上がるほど職が得やすくなります。厚生労働省では、ハローワーク(公共職業安定所)の求人、求職、就職の状況をまとめ毎月公表される経済指数です。
一方、総務省では同日、労働力調査を発表し11月の完全失業率が前月から横ばいの4.0%と発表。完全失業者数は249万人と前年同月から11万人減少し、就業者数は6,371万人と企業の積極的な採用が改善しています。
厚労省、求人者情報を民間へ開放
厚生労働省は、より就業率を上昇させるためハローワークの求職者情報を民間の職業紹介企業へ解放する方針を示しました。本人の承認を条件に職歴や希望職種、希望年収などを開放し、広く就職先を紹介できるようにします。求職者には、ハローワーク1ケ所に登録すれば民間のサービスも受けられるなどメリットが大きく、同省では平成27年度からの実現を目指します。
厚生労働省では、ここ数年問題となる若者に過酷な労働を強いるブラック企業対策として、求人票に過去3年間の離職率の記入欄を設ける方針。記入は強制ではないとしていますが、大学の就職課からの紹介や民間企業の紹介は対象にならず、完全な有効策とは言えないでしょう。
求人倍率:パートは1.16倍、正社員は0.63倍
11月の有効求人倍率は改善をみせるものの、雇用形態ではパートの求人倍率が1.16倍に対し、正社員での求人倍率は0.63倍と半減。正社員の求人比率は41.5%にとどまります。また地域別では、1倍台は21都府県と最も高いのは東京都の1.46倍。一方、最も低いのは沖縄県の0.58倍と雇用バランの課題は残ります。
日本は急速な経済のグローバル化に伴い産業構造も変革。雇用の流動化などにも対応せざるを得ない環境です。終身雇用や年功序列が崩れ、非正規社員の正社員か、解雇規制などが審議会で議論されていますが課題は先送り。手厚い失業給付や次への仕事のための訓練なども拡充しなければならないでしょう。
[2014.1.6]
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