「絶対ペイしない」リニア中央新幹線、それでも着工!?国家プロジェクトも政府金融支援はゼロ
JR東海、会長と社長:不動産取得税の非課税を政府・自民に直談判
安倍政権は12月12日、平成26年度税制改正大綱にJR東海が来年度着工用予定のリニア中央新幹線への支援策を盛り込みました。11月29日には、JR東海の葛西会長が首相官邸を訪問。菅官房長官に不動産取得税や登録免許税を免除してもらえるよう直談判。同社、山田社長も同日、自民党会合で同じ要望を行いました。
リニア建設に必要な土地や家屋の取得に伴う不動産取得税や登録免許税は、これまで整備新幹線建設では独立行政法人が建設主体のため非課税とされていましたが、リニアは民間企業が主体のため課税対象となっていました。
非課税なら320億円が軽減、開業前倒しも
JR東海の想定によると2税の支払額は東京・名古屋間で約180億円。名古屋・大阪間で約140億円と計約320億円に上ります。非課税になることで負担は軽減され開業予定も前倒しとなる可能性も高くなります。
ただ、リニアの総建設費用は総額約9兆円と、2税が非課税となっても民間企業1社が全額負担できるのか懸念されます。山岳地帯を貫くトンネル工事は難工事も予想され建設費は膨らむ可能性は大きく、長期にわたる工事はアベノミクスによる長期金利の上昇も懸念されます。
東海道新幹線:開業年度から赤字は拡大
そもそも、リニアは国家プロジェクトとして昭和の時代から研究開発されてきましたが、政府の支援は一切なくJR東海の前身、当時の国鉄が負担してきました。
昭和39年には東京オリンピックに合わせ東海道新幹線が開業しましたが、同年度から国鉄の収支は赤字に転落し、その後も年々赤字は拡大。結果的に国鉄分割・民営化の引き金になったとも言えます。民営化当時の債務は37.8兆円と莫大な額となりました。リニアは、東海道新幹線同様に内部留保と借入金で建設費を賄い、運賃収入で回収する予定ですが、現在は計画当時にはなかったLCC(Low-Cost Carrier:格安航空会社)など協力なライバルも実在します。
政府:金も出さず五輪まで開業?インフラ輸出?
平成32年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定の際、菅官房長官はリニアに関し「部分的にでも乗っていただければ」と海外へのPRを推進。安倍首相も、「日本のインフラ輸出の大きな武器」としていますが、政府の金融支援もなく、ただ「調子のいい話」です。
リニアの莫大な建設費や運営で採算がとれるのか一時経営破綻した第2のJALとの声も上がるなか、JR東海の山田社長は9月18日の会見で「絶対ペイしない」と断言。注目が集まるなか着工はもう目の前です。
●関連記事:「リニア中央新幹線、ルート発表!地域活性化か東京一極集中かJR東海、東京五輪に開業は困難!」[2013.9.26配信]
●関連記事:「リニアで国内建設活況へ!世界市場は韓国に追撃危機、官民一体で受注へ」[2011.1.15配信]
[2013.12.25]
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