頭金なし住宅ローン「フラット35」景気回復で所得増で安心?リスケは35万件の実態
期間限定、融資額上限9割から10割全額へ
国土交通省は12月10日、住宅金融支援機構が扱う長期固定金利型住宅ローン「フラット35」で住宅購入額の9割としている融資の上限をなくす特例措置を平成26年度末まで期間限定で実施することを決定。頭金なしで住宅が購入できるため貸し倒れリスクを考慮し、全額融資の場合は通常より0.4%ほど高い金利を適用し、過去の収入や職業など審査を厳しくするとしました。今年度補正予算と来年度予算案に必要額を盛り込む見通しです。
リーマンショック後の不況に全額ローンの過去も
フラット35は現在、住宅購入額の9割まで融資できますが、平成20年のリーマンショック後の不況で政府は経済対策に平成21年6月から24年3月まで全額融資の10割に引上げられたことがあります。国土交通省では、来年4月の消費税率引上げを控え住宅・不動産業界からは駆け込みニーズの反動減を抑制する対策を要請する声が高まっているため、全額ローンを決定しました。
同省は、フラット35の頭金なしの融資の拡大により不動産市場を活性化させ高品質な住宅供給を目指します。
金利上乗せでも民間金融機関よりお得
住宅金融支援機構が12月3日発表した12月のフラット35の適用金利は、返済期間21年以上35年以下で前月より0.01ポイント低い1.8%。過去最低だった今年4月に並び金利下落は5ケ月連続。頭金なしで金利上乗せしても2.2%前後と民間の金融機関の35年固定型2.5%〜2.7%よりも低く抑えられます。
一見すると、これまでより多く融資され住宅購入を諦めていた人には購入意欲を促すことになりますが、借り過ぎによる返済不能となる懸念も十分考えなければなりません。
金融円滑化法は住宅ローンにも適用、返済の負担を軽減
平成21年12月、亀井元金融相がリーマンショック後の不況に中小企業金融円滑化法を成立。中小企業への融資に対し返済をリスケジュール(条件変更)することを可能にしましたが、同時に住宅ローンのリスケジュールも実施。所得減少や人員リストラなど住宅ローンを抱える返済の負担を軽減しました。
金融庁によると今年8月末までに住宅ローンのリスケジュール申請数は34万9,673件が実態。頭金なしとは言え、余力を持ち将来の仕事や資金ニーズなどもしっかり考えなければならないでしょう。
[2013.12.14]
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