NEC子会社、業界4位のプロバイダー「ビッグローブ」を売却!個人向け事業から法人向けへ事業転換
売上高は841億円でも、成長の見込みなしと判断
NECは10月10日、子会社のプロバイダー(インターネット接続)、NECビッグローブを売却する方針とメディア各紙が報じました。NECビッグローブは平成18年、NECがプロバイダー事業を分社化し設立し今年3月期の売上高は841億円。NECでは、プロバイダー事業のほか、最近では法人向けのクラウドサービスなど事業の多角化を進めていますが、同社はビッグローブ単体では今後、大きな成長は見込めないと判断し、売却に踏み切るようです。
パソコンはレノボへ、スマホは撤退
NECは、個人向けの不採算事業の撤退、縮小を進めており、平成23年には中国レノボが過半数を握る形でパソコンの合併会社を設立。翌年12月からレノボとスマートフォン事業の統合交渉を行ってきましたが不調に終わり、NECは今年7月にスマートフォン事業から撤退。
ビッグローブは業界4位、302万人の会員数を誇るものの、ビッグローブを売却し経営資源を成長の柱とする通信機器や消防・防災など社会ソリューションに軸足を移すとしています。プロバイダー業界の再編が再び起きる予感です。
貸借よりも所有が得、自社ビル所有権再取得
NECは、今年3月期には3期ぶりの黒字に転換したものの、来年3月期には減収減益の見通しで業績回復に力強さを欠いています。今年9月30日には、平成14年に売却し、同社が証券化しリースバックでその後も入居する川崎市の「玉川ルネッサンスシティ」3棟のビルの所有権を約575億円で買い戻したことを発表。同社では、このビルの貸借に年間数十億円を支払っていたものの、中期的に買い戻し所有した方が有利になると判断しました。
同ビルはNEC創立100周年記念事業の一環で平成12年にサウスタワー、17年にノースタワーが玉川事業所の広大な敷地に建設されました。
家電メーカー、家庭用から部品へ転換?
ビックローブの売却によりNECは、個人向け事業から実質撤退することになります。同業のパナソニックやソニー、シャープでも個人向けのテレビ事業などは不振。液晶パネルや電子部品など他社に供給するビジネスに方向を転換した感があります。
市場は先進国から新興国へ移り変わり、消費者にニーズも変わり「良いものは売れる」から、「良いけど高い」は、付加価値などなければ売れなくなってきました。日本の電機産業の「攻め」から「守り」ともとれる方向転換に懸念が残ります。
[2013.10.29]
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