中国の大手企業集団訪日「日中経済関係改善を要望」にレアアースの誤算?中国当局、尖閣国有化では経済制裁・外交カード切れず
菅官房長官を訪問、民間交流の重要性を強調
日中関係の冷え込みが続くなか、中国を代表する金融グループや通信企業のトップら11人が9月25日、首相官邸を訪れ菅官房長官を表敬訪問。中国のトップらは、「日中の企業同士での交流を深め、日中関係を良くしたい」と述べ、民間交流の重要性を強調しました。
これに対し菅官房長官は、「中国が発展することは日本だけでなく世界の国々にとっても極めて大事」と、両国経済面での交流に期待を示しました。同日には経団連へも訪れ、日本企業代表らと民間レベルでの関係改善を図ることで一致しました。
中国当局:尖閣領土問題でレアアースの日本輸出を制限
日中関係の悪化は平成22年、尖閣諸島での中国漁船衝突事件から始まり、当時弱腰だった民主政権は海上保安船へ衝突させた中国人船長らを逮捕するもののあっけなく釈放。領土問題が勃発し中国当局は、ほぼ独占輸出品であるレアアース(希土類)の対日輸出を制限しました。
日本企業は、代替国からの輸入や技術の力で代替品、リサイクル技術の向上で中国産レアアースのニーズを急減させました。結果、昨年の中国のレアアース生産量は、ピーク時の平成18年の16万トンから半減。日本への輸出量は平成22年からわずか2年で4分の1に減少しました。日本の技術革新が中国の外交カードを打ち消し、中国当局にとっては大きな誤算となりました。
チャイナリスクを痛感!技術革新こそが日本の外交力
昨年の尖閣諸島国有化では、相変わらず中国当局の嫌がらせは続くものの外交カードは切ってきません。外交カードを安易に用いたことで日本企業にチャイナリスクの恐ろしさ知らしめ、その対抗策に技術革新が日本の外交力であることを気づかせました。
中国の大手企業トップが集団で訪日するのは極めて異例なこと。経団連の大手企業代表でつくる「日中経済教会」も、今年11月に北京を派遣する予定で民間レベルでの関係改善を牽引します。
日中関係悪化の影響:貿易は1割減、中国への投資は3割減
JETRO(日本貿易振興機構)によると、今年上半期(1月~8月)の日中貿易は、前年同期比10.8%減の約14兆5,290億円。4年ぶりの減少を記録しました。中国向け直接投資も同31.1%減の約4,900億円まで落ち込みました。中国経済の需給バランスは日本企業の影響だけでも痛手となったはずです。
今やGDP(国内総生産)世界2位となった中国。経済の歯車が狂えば日本ならず世界中の国々に悪影響を与えます。今回の中国企業集団の訪日により民間レベルで少しずつの対話を重ね経済の発展が願われます。
●関連記事:「レアアース、官民一体で中国依存5割以下に!東芝、三菱、日立は代替技術を開発」[2012.8.21配信]
●関連記事:「レアアース価格再急騰に脱中国!経産省技術開発支援:代替の先端技術に補助金87億円」[2011.6.7配信]
[2013.9.30]
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