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学生支援機構:奨学金の無利子枠5万人分拡大!社会問題化する滞納:期間延長の救済策

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奨学金の無利子枠5万人分拡大!「海外留学応援」制度創設:学生支援機構
文部科学省は8月27日、日本学生支援機構が大学生らに貸与している奨学金の無利子枠を5万6千人分増やすと発表しました。
平成25年度には約14万人分を確保していた新入生向けの無利子枠を4万人分増やし、これとは別に東日本大震災で被災した世帯の学生向けを4千人分拡大。また、海外留学する学生のために新たな無利子奨学金制度を創設し、1万2千人分の確保を目指し、26年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む方針です。予算が成立すれば来年度、無利子枠は49万6千人分となります。
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膨らむ奨学金利用額/民間でも広まる就学支援
国内では長引く不況の影響を受けて、経済的理由から進学を断念する学生も増加傾向にあります。
こうした現状を踏まえ、近年は自治体や少子化にともなう学生の減少を食い止めたい学校側でも、様々な奨学金制度の整備が進められています。東日本大震災の発生以降、民間の企業による奨学金給付も新設が相次ぎました。
現在は大学生の約半分、大学院生の約6割が何らかの奨学金を利用しているとのこと。社会全体で、学ぶ意欲を持つ学生への支援が強化されつつあります。

教育費の家計負担割合、先進国では日本が突出!
ただし、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、大学など高等教育に関する家計負担割合の国際比較では日本が51.5%と、先進諸国の中では突出しています。対して、アメリカは47.8%、オランダは14.7%、フランスはわずか10.1%と極めて低い割合です。
一昔前と比較すると奨学金制度が格段に充実しているとはいえ、財政難が騒がれている日本が「人材育成大国」になるまでの道のりは果てしないように見受けてしまいます。

社会問題化する「奨学金返済」/滞納により制度運営の危機!
加えて、近年深刻な社会問題となっているのが「奨学金の返済」です。
奨学金は「給付型」と「貸与型」の2種類に分けられます。返済の必要が無い給付型奨学金は、多くの場合、学業成績の審査なども厳しく、誰でも受けられるものではありません。学生支援機構に代表される貸与型はそのハードルが幾分かは低いものの、卒業後にその多額の「借金」を分割返済する義務が発生します。
ところが現在の日本では、たとえいっぱしの大学を卒業したとしても、将来収入が十分に確保できる保証もありません。返済が滞っている卒業生は全国で約33万人にも上り、それが奨学金の運営自体をも脅かしているのが現状です。

返済猶予期間延長も、さらなる救済制度拡充が課題
文科省は学生支援機構の「無利子枠拡大」と共に、卒業後の返済が困難な人の返済猶予期間を延長するなどの救済策拡大の方針も固めています。しかし、同機構による給付型奨学金制度の創設は見送る向きとのこと。
奨学金問題も少子化問題も、深刻な状況は財政とも密接な関係があります。オリンピックの国内開催をきっかけに経済復興を狙ういまこそ、若い人たちにより良い環境を残すための抜本的な制度改革の好機のはずです。

[2013.9.14]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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