貸金業法再改正:総量規制撤廃・金利引上げ「適正な小口金融市場」、
消費者金融、9年前の10/1に激減
中小企業や小規模事業者、個人事業者など資金繰りや短期のつなぎ融資など下支えしてきた消費者金融業者は、平成22年6月の改正貸金業法の完全施行から3年経ち今年6月末現在、2,178事業者と9年前から10分の1に減少。多重債務者の撲滅を目的にした法令は、その目的をほぼ果たすものの、様々な手法で上限金利を大幅に超え貸出しをするヤミ金業者など摘発が日々報じれられています。
アベノミクスによる経済回復期待が強まりをみせるなか、中小企業や小規模事業者への恩恵はいまだ波及されていないのがその実態。自民党の選挙公約であった「適正な規模の小口金融市場の実現と真の返済困難者の救済」の進捗は報じられていません。
自民公約:多重債務者支援、ヤミ金摘発強化、適正業者の育成
公約では、改正貸金業法による市場の収縮や新種のヤミ金の暗躍、返済困難者の放置などによる悪影響から、上限金利や総量規制の過剰な規制を見直し利用者の利便性を図るとしました。同時に多重債務者に対する支援を強化し、ヤミ金業者の摘発を強化、適正業者の育成などにより健全な借り手と貸し手による小口金融市場を目指すはずでした。
昨年5月には、自民党の「小口金融市場に関する小委員会」が年収の3分の1を超える貸出しを原則禁止する総量規制を撤廃し、最大上限金利も年利20%から30%程度に引上げる案をまとめました。
再改正へ民主、超党派の勉強会、その後の動きは
同様の動きは民主党でも行われ、「改正貸金業法検討ワーキングチーム」を立ち上げ自民党同様の検討が行われています。超党派では、「貸金業法改正の影響と対策に関する勉強会」もあり、有識者をまじえ規制緩和の必要性などについて議論されています。いづれも昨年以来おもだった動きもなく事実上、棚上げ状態となっています。
アベノミクス効果が連日報じられ参院選も圧勝し「ねじれ国会」は解消。いつの間にか法案が「国会を通過」するという得意技もこれまでに何度もありました。貸金業法の再改正派議員による強行もないとは言えません。
アベノミクス効果、個人ローン急伸
個人消費は、アベノミクス効果で持ち直し見せ始めるなどノンバンクのカード利用やキャッシングなど個人ローンが伸びてきています。経済産業省の特定サービス産業動態統計月報によると、今年第1四半期(4〜6月)のカード取扱高は約9兆8,800億円。いづれの月も前年同月を上回り、19ケ月連続前年同月超え。改正貸金業法で低迷した消費者金融も今年度は8年ぶりにプラスとなる見通しですが、景気頼みの面も強く、収益環境は依然厳しい状況です。
安倍政権は、10月に消費税増税を実行するか決定し成長戦略第2弾も掲げます。公約であった「適正な小口金融市場」をいつ実現させるか注視されます。
●関連記事:「消費者金融、成長進むアジアへ本格進出!国内資金ニーズ増に貸金業法規制緩和か」[2013.7.25配信]
[2013.9.7]
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