ANA、客室乗務員、契約社員を正規社員登用!賃金抑制は継続、給与アップは実力次第
バブル崩壊後、コスト削減で入社3年間は契約社員採用
ANAは8月19日、来年4月以降の客室乗務員の採用形態を20年ぶりに正社員として採用することを発表しました。ANAはバブル崩壊後、平成7年よりコスト削減を目的に契約社員制を導入。入社から3年間は契約社員として雇用しその後、正社員に登用していました。
ANAの客室乗務員は現在、約6,000人。このうち1,600人が契約社員となっていますが、現在の契約社員も本人の希望で来年4月以降、正社員にするとしています。
正社員化で教育を徹底、他社との差別化
ANAは、LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)との競争が激化するなか、客室乗務員を正規社員に登用することにより、安定した優秀な人材確保とサービス向上を目指すとし、他社と差別化を図ります。正規社員の待遇は、非正規社員に比べ安定していて、雇用や給与、賞与、退職金などが保証されています。ANAの取組みは今後、航空業界に大きな影響を与えることは間違いなく、安倍政権の成長戦略の一つに雇用改革が打ち出されています。今回の試みは第2のANAが現れて、他の産業にも波及するかどうか注目です。
過去最多!非正規雇用の労働者人口1,881万人
総務省が8月13日発表した今年度の第1四半期(4月~6月)の労働力調査によると、非正規雇用の労働者は1,881万人と四半期ベースでは集計開始以来過去最多。一方、正社員雇用は3,317万人と前年同期から53万人減少しました。
アベノミクスによる景気回復期待や物価上昇など予測されるなか、安倍政権は業界団体などに異例の賃上げを要求するものの、実態は非正規雇用の増加によりトータル賃金を抑制するといった結果を招いています。
平成7年700万円/年、現在449万円/年、平均年間給与は変わらずと目算
ANAによると平成7年、客室乗務員の契約社員採用の導入により平均年間給与は700万円でしたが、今年3月末時点では約449万円にまで低下。今回の正規社員採用の復活で雇用や社会保障、退職金などは保証されるものの賃金の抑制傾向は継続し、平均年間給与もほぼ変わらないと目算しています。
現在、ANAの契約社員ではチーフパーサーと呼ばれる現場リーダーにはなれませんが、正規社員となることで入社歴が浅くても実力次第で給与の高いポストへの昇格も可能になります。ANAは、正規社員採用復活で士気向上を図り、個人の賃金上昇は実力主義としました。
[2013.8.30]
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