「まいど1号」が宇宙なら「江戸っ子1号」は深海探査!深海8千メートル実用試験へ、技術と開発の町工場魂
深海生物をハイビジョン撮影、海底泥を採取
東京・下町の工場が集まり開発を進めている無人海底探査機「江戸っ子1号」は、今年9月下旬に千葉県房総半島沖の深海8千メートルに挑戦することが明らかになりました。探査機は、深海に生息する魚類などを3Dハイビジョンで撮影するほか、海底泥を採取します。
「江戸っ子1号」は、東大阪市の職人集団が開発した人工衛星「まいど1号」が宇宙を目指すのに対抗し、東京は深海を目指す「江戸っ子1号」と命名。平成21年にはプロジェクト委員会が発足し、工場に参加を呼びかけ企業や海洋研究開発機構、大学など開発に関わります。
「まいど1号」は無事成功!次は「今度は月でロボットになんかさせたるねん」
「まいど1号」は、すでに平成21年1月にJAXA(Japan Aerospace eXploration Agency:宇宙航空研究開発機構)のロケットに相乗りし打ち上げられ、同年10月まで計画した行程を無事成功に終わらせました。「今度は月でロボットになんかさせたるねん」と、次は世界初の人型宇宙ロボット開発を目指します。
一方、「江戸っ子1号」は、海洋研究開発機構の「かいよう」から試験機3機を投下し海底に10時間滞在。微生物を含んだ泥の採取や生物撮影、捕獲に挑戦します。これまで撮影・通信機器を保護するガラス球体は外国製でしたが、国産メーカーの参入で日本製に変更し、オールMade in JAPANで挑戦します。
東京葛飾の町工場、倒産・廃業で500社から200社へ減少
「江戸っ子1号」の開発リーダーである東京・葛飾区の杉野ゴム化学工業所の杉野社長は、葛飾区には町工場が集まるものの、景気低迷で技術承継もなく廃業に追い込まれる状況を懸念。最盛期には500社あったゴム関連メーカーは倒産や廃業で200社に減少しました。
プロジェクトは、小さな町工場でも力を結集すればイノベーションが実現できるとし、大阪の「まいど1号」に刺激を受け始動させました。当初は反応が薄いものの取引先の金融機関から芝浦工業大学、さらに海洋研究開発機構に話は進み、今年「夢」が実現されます。
試験成功なら商品かも、価格は「車1台分」
「江戸っ子1号」は、これまで浅海での実験は成功しており、9月の深海8千メートルでの本格的な試験で「お墨付き」を得られれば商品として市販化も可能。これまでの開発費は、民生品を多用するなど2,000万円に抑えられました。試算では、販売価格は「車1台分」とのことから数百万円となりそうです。
これまで深海探査には莫大な費用がかかってきましたが「江戸っ子1号」が実用化となれば企業や大学など深海研究、海洋開発の伸展も期待されます。技術や開発にこれまで試行錯誤を繰り返し壁を乗り越えてきた下町の町工場魂は、9月に証明されようとしています。
[2013.8.9]
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