東京都民・八千代銀行統合!中小企業融資より国債運用では限界、地銀再編に金融庁の影
業務提携から13年、経営統合への協議開始
東京都を地盤とする東京都民銀行と八千代銀行は、経営統合に向け協議を開始。金融庁や大株主に意向を伝えたことがメディアで報じられました。両行は、平成12年より業務提携を進め、ATM(現金自動出入機)の相互無料利用や中小企業の顧客開拓などこれまでも協力関係にありました。
首都圏では、メガバンクや地方銀行、信金、信組と競争が激化。統合・再編により営業力を強め経費コストダウンを図ります。バブル崩壊後には大手銀行は3メガバンク、りそなグループ中心に再編されましたが地域金融機関の再編は進んでいませんでした。
統合で地銀・第二地銀105行中20位の規模に拡大
預金額を見ると東京都民銀行は約2.4兆円、八千代銀行は約2.1兆円と統合すれば約4.5兆円。全国地方銀行協会によると今年3月期の決算では地銀、第二地銀105行の中で20位の規模となります。両行の統合検討は他の地域金融機関の再編の呼び水ともなりそうです。
自民党の日本経済再生本部が5月にまとめた中間提言では、地域経済再生のため地銀再編を求める内容が盛り込まれ、金融庁も後押ししています。今後も同様の取組みが地域に広がる可能性も高まります。
安倍政権、中小融資への低下が地域経済再生の重石
長引くデフレ経済のもと地域金融機関では、中小企業などへの融資が伸びず余剰金は国債など有価証券の運用に回し収益を確保。これまでも国債保有率が高いのが地銀の特徴とされてきましたが、安倍政権は中小企業への融資の落ち込みが地域経済再生の重石になっているとの考えを示します。
今年4月現在、国内の金融機関の国債保有残高は156兆円と減少したものの、未だ地銀は35兆円の国債を抱えています。アベノミクスお異次元金融緩和などデフレ脱却策により長期金利が上昇すれば、保有する国債の評価損の処理も迫られます。
地銀は融資より国債運用で収益確保、「ゆうちょ化」の声も
地銀は、それぞれの地域で中小企業への融資や住宅ローンなどを取扱い、一国一城状態で競争もさほどなく再編が進みませんでした。バブル崩壊後は、中小企業よりも国債など有価証券で運用するなど「ゆうちょ化」しているとの声も上がります。この先、地銀の再編が進むのかねじれ解消で次の一手が注目されます。
この夏、各省庁の事務方トップが相次いで交代されるなか、地銀再編が持論の金融庁の畑中長官は続投。3年目に入ったことも地銀統合、再編が進む裏付けとも捉えられます。
[2013.8.8]
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