ANA傘下のLCC「エアアジア・ジャパン」合併解消で運行終了!新たなブランドでLCC市場に再参入
合併解消でANA、エアアジアとも国内LCC市場に再参入
ANAホールディングスは7月30日、傘下のLCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)、エアアジア・ジャパンの運航を今年10月末でいったん終了し、社名を一新して新たなブランドで12月末から再開することを発表。同社とマレーシアのエアアジアは、すでに6月25日に合併解消を発表していました。エアアジアも国内で新たに提携先を見つけ、国内のLCC市場へ再参入するとしています。
合併解消にあたりANAは、エアアジアのやり方に限界があり国内では不向きだった見方を示す一方、エアアジア側では、ANAの主張を通せば他の路線に比べコストが3倍と利益に結びつかないことを指摘。エアアジア・ジャパンの今年3月期の営業赤字は、35億円に膨らみこれ以上の損失は見過ごせないことから合併解消に至りました。
LCC元年から1年、LCCは観光地路線に特化?
昨年は、LCC元年として日本の空にLCCの飛行機が飛ぶようになり約1年が経過。ジェットスターやピーチ・アビエーションも海外流コスト削減だけでなく日本型ビジネスにおいては観光地路線をメインにするなど模索が続きます。
ANAの新しいLCCブランドは、成田や名古屋発着のリゾート地を中心に路線を組み替え12月末から再出発を図ります。同社では、新ブランドへ移行後も現在のエアアジア・ジャパンの約420人の従業員の雇用は継続するとしています。
座席利用率は5割と低下傾向、利益維持には8割が必要
ANAホールディングスが7月30日発表した今年第1四半期(4月〜6月)の連結決算によると、エアアジア・ジャパンの座席利用率は国内線が55.5%、国際線が52.1%。平成24年度通年の座席利用率は国内線63.9%、国際線61.9%だっただけに今期の出足をくじかれました。LCCが安定的な利益を得るには80%以上必要と言われ、新ブランドでの運用法が注目されます。
3月末時点のエアアジア・ジャパンの路線は、成田からは札幌、福岡、那覇、ソウル、釜山と、名古屋からは福岡路線。新ブランドでは、観光ニーズが見込める台湾やグアム、サイパン、ハワイなどが候補に挙がります。
「おおてなし」期待の利用客のクレーム急増
LCCの魅力は何と言っても価格の安さであり、そのために「人を安全に目的地に運ぶ」以外のサービスはほぼありません。これは今までの日本の「おもてなし」とは全く逆行しますが、これが国際標準。ここを理解して利用しなければ当然クレームにもなります。
国民生活センターによると、航空サービスにおいてLCCへのクレームは輸送実績が全体の1割前後であるものの、クレームは全体の4割。不満はあるものの、利用者は今までの航空会社との違いを理解できなければ感情的にもなりますが、これが世界標準、グローバル化であることも理解しなければなりません。
▼国民生活センター:「低運賃でも苦情は急増 LCCなどの格安航空に関するトラブル」
●関連記事:「LCC就航が後押し!平成24年訪日外国人836万人、前年から34%増、震災前の水準に復調」[2013.2.1配信]
●関連記事:「LCC3社、お盆休みの搭乗率ほぼ満席!大手2社は海外路線増加、国交省は競争力強化に規制緩和」[2012.8.24配信]
[2013.8.3]
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