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法人税減税は投資減税を優先!?企業は海外現地生産に貿易自由化の恩恵で海外投資

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ねじれ国会解消で経済界は一気に法人税減税の期待
安倍政権は、今年6月12日に決定した成長戦略で法人税減税について投資減税で法人負担を軽減することを提言。7月21日の参院選圧勝でねじれ国会が解消され、経済界からも法人税減税の声が一層高まっています。
安倍首相は、国際的に見て高い水準の日本の法人実効税率について、設備投資を促す減税措置を優先的に講じると指摘。その上で国際競争に勝つための税率を議論し諸外国の水準を考慮し引下げを検討する考えです。

法人実効税率、先進7ケ国で日本は米国に次ぐ高水準
財務省によると今年1月現在、日本の法人実行税率は35.6%と、フランスの33.3%、中国の25%、韓国の24.2%、シンガポールの17%を上回ります。G7(先進7ケ国)のなかで日本を上回るのは米国の40.7%のみ。日本の輸出産業で品目が被る韓国との10%以上の差は企業に重くのしかかります。
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一方、投資減税を先行することで、来年4月に消費増税が予定される国民負担の反発を和らげるとの声も上がります。円安により輸出産業が息を吹き返し黒字決算が発表され利益は内部留保。中小企業や小規模事業者、さらに国民への負担だけが大きくなるなど税率決定はバランスが鍵となりそうです。

法人税納付企業は全体の3割弱、40年前から半減
投資減税は、投資の全額や一部を法人税額から控除するなど考えられますが、国税庁によると実際に法人税を納付する企業は全体のわずか27.7%。40年前の高度経済成長期には60%を超える企業が納付しましたが半減しました。
投資減税は、限定的なものとなるほか、大規模な減税により財政再建目標にも抵触する恐れがあり、ここでもバランスが重要となります。何よりも国内での生産に投資する企業がどれほどあるのか疑問です。

自動車は海外生産に向けた投資、国内生産で踏ん張るトヨタ「アクア」
日本を代表する自動車産業は、成長が見込まれる海外ニーズに現地での部品調達や生産が相次ぎ、タイやインドネシアに次々に設備投資。トヨタの「アクア」など国内生産で踏ん張るものの、日系メーカーの海外生産は次々に打ち出されます。
さらに日本は、自由貿易交渉の遅れにより、米韓FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)を利用し「カムリ」は米国で生産、韓国へ輸出されています。もはや新興国ニーズだけが海外生産移行の理由でなくなっています。投資減税による効果が国内の設備投資回帰となるか疑問も残ります。


[2013.8.2]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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