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先端医療:再生医療「iPS細胞」の実用化加速/医療ツーリズムに弾み

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短期間、低コストで肝臓が治る
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平成22年のノーベル医学生理学賞を、世界初の体外受精児を誕生させた英ケンブリッジ大学のロバート・エドワーズ名誉教授に譲った京都大学の山中教授はiPS(人口多能性幹)細胞研究の第一人者です。iPS細胞は、様々な臓器や器官の細胞へ変えることができ、再生医療の切り札とされています。このiPS細胞の具体的な医療現場での用途が徐々に明らかになってきました。
京都大・大阪大・大阪府医薬基盤研究所の合同チームは、1月6日、iPS細胞にウィルスを使用して遺伝子を導入、高い効率で肝臓細胞をつくることに成功したと発表しました。今までの肝臓治療は、人の肝臓細胞を海外から取り寄せ、試験していましたが、iPS細胞からつくった肝臓細胞を使用すれば短期間、低コストで毒性評価が出来るようです。同チームでは横浜市のベンチャー企業と共同で実用化を目指すとしています。実用化へ向け、日本の先端医療がまた一つ前進しました。

文科省・経産省・厚労省:再生医療実現化ハイウェイ構想
iPS細胞は、本人の細胞を使用するため拒絶反応もなく、胚性幹細胞のように生命の誕生ともいえる受精卵を壊さなくてすむなどの利点があります。細胞医療のため、部位に偏ることなく肝臓のほか、心筋細胞や神経細胞など幅広い治療が可能となります。
このiPS細胞の実用化に向けた研究開発には、昨年6月に政府が医療を成長産業に掲げたように国の支援が行われています。政府では、iPS細胞など日本の画期的な再生医療の実現を急ぐため、基礎から応用まで幅広い段階の有望な研究を選び支援する「再生医療実現化ハイウェイ構想」を昨年11月にまとめています。1月には内閣官房に「医療イノベーション担当室(仮称)」を設置し、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携、一体となって研究を加速させます。

研究費は1/5、研究者も1/10
政府の新構想は、三省に加え、大学、産業界から人材を集め、知的財産権、進捗状況などの情報を収集、共有するとしています。
しかし米国に比べれば関連分野の研究費は1/5、研究者も1/10に低迷しています。iPS細胞医療で巾を広げ、様々な病気に有効な医療を見い出し、米国に追いつきたいものです。最先端医療で国内のみならず、政府推進のクールジャパン企画、医療観光にも結びつけ、海外の疾病患者を元気にして欲しいものです。


中国:一億人近い糖尿病
意外なことに中国は世界一の「糖尿病大国」で、糖尿病有病数は日本の全人口に迫る9,240万人と言われています。北京市の日中友好病院の楊文英(ヤン・ウェンイン)医師らが、平成19年6月から一年間、中国の14地域の4万6,239人の成人を調査。医学誌「New England Journal of Medicine」で発表した結果は、糖尿病有病率は9,7%、1 0人に1人が糖尿病。また糖尿病予備軍が15.5%だったといいます。東京大医科学研究所では昨年7月、動物実験で、iPS細胞から膵臓を再生させ文部科学省もこれを初承認しています。政府の支援で再生医療研究を加速させ、いち早くiPS糖尿病医療を実現してもらいたいところです。

羽田・関空/医療ツーリズム環境の整備:先端医療
政府では、10~15年先の実用を見据え、研究予算を支出する医療の重要分野の絞込みをしていくようですが、的をはずさず、しっかり需要のあるマーケットを絞り込んでもらいたいものです。糖尿病だけでも中国の数、さらに日本でも有病率は7.3%、米国に至っては12.3%と「New England Journal of Medicine」では発表されているのです。
大阪府は新年度から関西空港の対岸に位置する「りんくうタウン(泉佐野市)」を最先端の医療観光にと、医療ツーリズムの拠点づくりをはじめると報道がありました。羽田国際空港など国内主要都市の空港すべて、このような動きが出ればアジアならずとも欧米など世界中から先端医療を目的にした医療観光客を受け入れられるでしょう。空洞化が進む国内市場に医療目的観光客を中心とした観光産業、関連する産業が成立することでしょう。政府はiPS細胞実用化の目標をより早め、ウーロン茶を飲んでも糖尿病になる中国をはじめとして、海外から多くのiPS糖尿病医療など先端医療を受けてもらいたいものです。

●関連番組:平成23年1月10日NHK総合22:00~「プロフェッショナル・夢の医療ここまできた」
[2010.1.10]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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