クリエイティブ関連ソフト大手、米アドビの大胆な賭け「店頭販売中止!」クラウドへ一本化
フォトショップ、イラストレーター店頭から消滅
パソコン用ソフト大手の米アドビシステムズは6月18日より、画像処理ソフト「フォトショップ」や描画ソフト「イラストレーター」などクリエイティブ関連ソフトの店頭パッケージ販売を止め、ネット経由で最新版を提供する「クラウドサービス」のみでの提供に移行します。これまでのパッケージ製品を購入した利用者は引き続き利用できるものの、バージョンアップはなく、新しい機能の提供はないとしました。
企業では、基幹システムやデータ処理などクラウドサービスが広まりつつあるものの、個人やクリエイター向けに利用するソフトも本格的にクラウド化への移行が強まり始めました。
個人での購入は高価?33万円のソフトがクラウドで月額5,000円で利用可能
フォトショップやイラストレーターなどクリエイティブ関連ソフトをパッケージ化した「クリエイティブ・クラウド」は、パッケージ版では33万5,000円と小規模企業や個人では高額な製品。クラウド化により個人の利用は月額5,000円とし、パッケージ利用者には割引プランもあるほか、単体利用での割安契約も可能としています。
アドビ日本法人では、IT環境が急変するなか、従来の更新方法では機能の追加が追いつかなくなり「大きな決断だが、時代の必然的な流れ」とクラウド化への決断を強調しました。
トヨタがレンタカー専業になるほどの方針転換
アドビの決断は、トヨタが急に自動車の販売を止め、レンタカー事業専業とするほどの大胆な方針転換。ソフト業界では、マイクロソフトも主力業務ソフト「オフィス」のクラウド化を推進しており、パッケージ販売からの移行は時間の問題となりそうです。
アドビのクリエイティブ・クラウドは、すでに昨年から世界で提供され、現在50万人が利用。日本語版は、今月アップグレードを機にクラウドへ一本化されます。
バージョンアップもリアルタイムで更新
アドビは、プロ向けソフトとして色彩が強かったクリエイティブ・クラウドを、初期費用を抑えることで学生や1人の社員が複数の業務を行う小規模・中小企業へも導入が広げられることを強調。機能の更新などもリアルタイムで行えることをメリットとしています。
クラウド一本化というアドビの大胆な賭けは、これまで通りの業績を上げられるかは不透明であり、魅力を伝えられるかが明暗を分けそうです。何よりデータが大量となる印刷物制作など、クラウドでソフトがストレスなく動くのか疑問も残ります。
[2013.6.21]
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