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上場企業の不動産売却、8年ぶりに前年度超え!不動産保有は有利か?企業意識の変化明らか!

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事業の再構築、遊休地の見直しのほか、不動産投資法人の活発な動きも要因
東京商工リサーチの調査によると、平成24年度に固定資産の帳簿価額が純資産の30%を超える国内の不動産を売却した東証1部、2部の上場企業は60社と8年ぶりに前年度を上回りました。事業の再構築や工場など遊休地の見直しのほか、不動産投資法人の活発な動きも影響しています。
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不動産投資法人は、投資家から集めた資金をもとに、不動産などを保有し運用することを目的として不動産投資証券を発行。保有する不動産から得られる賃料収入や売却益を投資家へ分配します。JーREIT(不動産投資信託)を代表に証券取引所に上場し、株式と同様に売買することができます。

バランスシートのオフバランス化、リースバックで継続利用のメリット
企業は、保有する不動産を売却することで再構築のための資金を調達でき、リース資産同様にバランスシート(貸借対照表)を圧縮。オフバランス化により健全化が図れます。また、不動産リースバック契約により賃貸方式でオフィスや工場など売却不動産の継続利用も可能になります。
公表された52社の売却不動産の土地面積のトップは大阪の繊維メーカーの工場敷地など、生産拠点の移管や集約する工場跡地が目立ちます。売却土地総面積は前年度より48%減少するものの1万平方メートル以上は19社と6社増加しました。

電機産業の売却は11社、ソニー・パナソニックは自社ビル売却
譲渡価額の総額は公表52社で3,057億円。譲渡額トップは、ソニーのJR大崎駅前の「ソニーシティ大崎」の1,111億円。譲渡後もリースバック契約により、同ビルで事業は継続されています。次いで財務改善計画の一環で「パナソニック東京汐留ビル」の507億円と、電機産業が11社と最も多い結果となりました。両社のビルはいづれも不動産投資法人へ売却されています。
平成23年度は、東日本大震災の影響により不動産取引への取組みが手薄となったことや様子見も見られましたが、24年度は落ち着きをみせ、不動産投資法人の物件取得の動きが活発化しました。

企業の意識、不動産所有が「有利」は20年で減少
国土交通省の平成24年度「土地所有・利用状況に関する企業行動調査」によると、今後、土地・建物について「所有」と「貸借」でどちらが有利と思うかについて、「所有」が有利と答えた企業が36.6%と、平成5年の66.7%から大幅に減少しました。一方、「貸借」が有利と答えた理由のうち「事業所の進出・撤退が柔軟に行える」とのことが61.4%に上りました。
自社ビル、自社工場などこれまで企業のステータスや不動産担保の取得、利用の自由度などあったものの、この20年で企業の意識はグローバル化とともに大きく移り変わっています。

[2013.6.4]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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