日銀・異次元金融緩和でJーREIT市場2倍に拡大!相次ぐ投資法人の不動産取得で市場はミニバブル?
平成24年度JーREIT取得額1.5兆円に倍増
国土交通省は5月24日、平成24年度の「不動産証券化の実態調査」の結果を発表。不動産証券化の対象として取得された不動産及び信託受益権の資産額は、3兆3,450億円と前年度比で42.9%増と3年連続の増加となりました。このうちJーREIT(Real Estate Invesment Trust:不動産投資信託)の取得額は、1兆5,550億円と前年度から約2倍と大幅に増加。全体の約46.5%を占めました。
アベノミクスによる大胆な金融緩和により、大型の不動産取得や新規上場などJーREIT市場は活性化。日銀によるJーREITの購入額も300億円に設定されました。
上場企業の不動産売却、前年度から10社増加
東京商工リサーチが5月10日発表した平成24年度の「東証1部・2部上場企業不動産売却」に関する調査報告によると、国内不動産の売却を実施した上場企業は、前年度から10社増え60社となりました。事業の再構築を迫られ、不要になったビルや工場など、売却に動き出したことも要因となり、前年度を上回るのは8年ぶりとなりました。
パナソニックの自社ビル「パナソニック東京汐留ビル」や、東京・大崎駅前のソニーの自社ビル「ソニーシティ大崎」など、経営再建を目指す高額な取引が目立ちました。ソニーは売却後、リースバック方式で貸借契約後も事業は同ビルで継続。資金調達に成功しました。
運営する投資法人も増加、不動産投資市場に活況
パナソニック、ソニー両社の自社ビルは、JーREIT市場では規模最大の日本ビルファンド投資法人が購入。JーREITを運営する投資法人の不動産取得は相次ぎ、来月には野村不動産マスターファンド投資法人が新規上場するなど不動産投資市場に活況が見られます。
JーREITは、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を購入。その賃貸収入や売却益が投資家へ分配されます。投資証券は証券取引所ですぐに売買でき、管理の手間なく少額を分散して始められることから初めてJーREITに投資する人も増えています。
東証REIT指数、1〜4月にかけ4割上昇
東京証券取引所に上場するJーREIT全銘柄を対象とした時価総額加重平均を示す東証REIT指数は、今年1月〜4月にかけ43.5%上昇。東証株価指数の上昇率35.5%をも上回っています。アベノミクスの景気回復期待によりJーREIT市場に資金が流入し株価上昇は続きます。
一方、日銀の異次元金融緩和政策により長期金利が上昇するなど、JーREITの安定したリターンの魅力は薄れます。また、JーREITの株価は急騰するものの、実態の不動産価格は大きくは上昇していないなど懸念を示す投資家も少なくありません。実態は2倍に膨れ上がったJーREIT市場も、このまま不動産価格上昇に繋がるか今後も注視されます。
●関連記事:「日銀:JーREIT年内1,300億円買入れ/物流施設特化のREITは高配当の予測」[2013.1.12配信]
[2013.5.29]
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