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老朽化する首都高の「空中権」売却!巨額改修資金を調達/PFI活用で東京駅復元工事も負担なし

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政府:導入遅れる民間資金を活用するインフラ整備の拡大を検討
政府の経済財政諮問会議は5月7日、老朽化した高速道路や湾岸などインフラの整備に、導入が遅れている民間資金活用によるPFI(Private Finance Initiative:社会資本整備)の利用拡大について議論。公共施設の運営権などを売却し、資金を調達する方法が検討されました。
機動的な財政投入により日本の借金は膨らみ続けるなか、インフラ整備と財政健全化の両立に向け6月の「骨太の方針」に盛り込む方針です。PFIは、一部の空港で広がりを見せていますが、7日の会議では老朽化する首都高速の巨額改修費用に高速道路の上の空間を使う「空中権」を解放し、民間資金を呼び込む考えを示しています。

首都高速銀座周辺の半地下部分の空中権を売却、改修費用に充当
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太田国土交通相は同日、首都高速を地中に埋め、地上部分を「空中権」として民間企業に売却。調達した資金を老朽化対策に充当するPFIを導入検討すると発表。首都高速の大規模改修などの老朽化対策には約1兆円の資金が必要で、都心環状線の銀座周辺で半地下となっている約1kmの区間の空中権の売却を検討しています。
空中権は、都市計画で定められた容積率のうち使われていない部分を使用できる権利。平成12年の法改正により、指定された地域で売買することが承認されました。対象となる銀座周辺区間は、元々は川であったため半地下構造になっており、想定では道路の上を人口地盤で覆い、新しい土地をつくり出すことが検討されます。

東京駅の容積率900%のうち700%を周辺ビルへ売却し工事資金調達
空中権を活用した事例として昨年10月に新築当時の様相に生まれ変わった東京駅・駅舎復元工事が挙げられます。約500億円とされる工事費用は、JR東日本などが東京駅の敷地容積率基準900%のうち700%を東京駅周辺のビルへ売却し捻出されました。復元された東京駅は、現代の高層ビルでなく3階建てのまま抑えられ、空中権の売却で改修費用のほとんどが調達できました。
丸の内の新丸の内ビルの容積率の一部は、東京駅の空中権を購入。もともとの敷地容積率基準は1,300%でしたが1,760%に増やし地上38階建て、高さ198mの高層ビルに立て替えが可能になりました。ほかにも三菱地所の東京ビルやJR東日本などのツインタワーなども東京駅の空中権を活用しています。

首都高速地下化計画:空中権売却で地下化工事費1/3を捻出
国土交通省によると、首都高速のなかで空中権に適した用地は道路全体の16%を占めています。空中権の売却により改修費用の一部でも捻出が期待されます。また、同省の有識者の検討会では、首都高速の耐震対策に現在の高架部分を撤去し、地下化する計画も検討されています。トンネルにすることにより新たに生まれる用地の空中権をすべてを売却することで、地下化にかかる費用の1/3が賄える試算も出されています。
民間資金を活用するPFIは、国や自治体など行政頼りから、民間の資金やアイディア、知恵、技術を活用することで、地域の経済活性化も早まるでしょう。


[2013.5.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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